ビクター・ウェンバニャマ

「自分が判定に影響を与えるべきではないと思っている」

現地29日、スパーズはホームでクリッパーズに116-128で敗れた。第4クォーター残り5分で1点リードと一進一退の攻防を続けていたが、試合終盤にカワイ・レナード、ジェームズ・ハーデンらクリッパーズのスター選手の底力に屈してしまった。スパーズは2024敗、ここ6試合で5敗と踏ん張りどころを迎えている。

この試合、勝敗以上に大きな注目となったのが、スパーズの中心選手ビクター・ウェンバニャマに対するクリッパーズのイビツァ・ズバッツのハードファウルだ。

3クォーター残り約5分、ウェンバニャマはゴール下でのズバッツのシュートをブロック。ファウルを取られなかったことに苛立つ仕草を見せたズバッツは、トランジションからスパーズのハリソン・バーンズが3ポイントシュートを決める一連の流れにおいて、背後からウェンバニャマに突進。予測不可能なコンタクトを受けたウェンバニャマはコートに倒れるという危険なプレーだった。

NBA2年目のウェンバニャマは着実な成長を見せ、昨シーズン以上の支配力を発揮している。それゆえに相手のマークは激しさを増し、ハードヒットのファウルを受ける回数も多くなっている。試合後ウェンバニャマは、今回の件を含めた苛立ちを吐き出すかのように「ズバッツのことではないよ。ただ、誰にファウルを受けてもフラストレーションは溜まるよ」と語った。

ちなみにズバッツは、次のように反省の弁を述べている。「ブロックされたプレーで、ファウルを取ってもらえず審判にイラついてしまった。それでバーンズに3ポイントシュートを打たれたプレーへの反応が遅れてしまった。ウェンビーのクラッシュ(オフェンスリバウンドに入る動き)が見えたので、彼をボックスアウトしないといけないのはわかっていた。それで彼に少し激しくぶつかってしまった。少し感情に流れてしまった部分はあり、彼に謝った。あのプレーは僕がやりたい形ではなかった」

ウェンバニャマは「時々、判定がアンフェアと感じる中で戦うのは難しい」と率直な思いを語る一方で、自分にしっかりとベクトルを向けている。「この件についてはスタッフと話し合っているし、自分がやらなければいけないことはある。まず、僕はもっとフィジカルを強くする必要があるし、相手の突進を避けないといけないとか、色々とある。審判にも自分のことをもっと話さないといけない」

ただ、コート外で審判に「自分はもっと守られるべき」とプレッシャーをかけるような働きかけをするつもりはない。「自分が判定に影響を与えるべきではないと思っている。僕はバスケットボール選手で、プレーするためここにいる。フラストレーションを感じても、それについて(オフコートでの)政治的な活動をするのは僕の仕事ではないよ」

当然とは言え、相手の徹底マークが続くと、ウェンバニャマのケガのリスクは高まるばかりだ。彼が故障なくシーズンを戦い抜いてくれることを多くのファンが願っている。