上位対決を1勝1敗とし、得失点差で上位に立つ

宇都宮ブレックスは1月25日、26日とアウェーに乗り込み琉球ゴールデンキングスと対戦した。1月17日、ケビン・ブラスウェルヘッドコーチが心臓疾患で緊急搬送され、現在も入院中。指揮官を欠く苦しい状況の中、難敵相手に1勝1敗という成績を収めた。

宇都宮はゲーム1で、チーム全体で3ポイントシュート38本中18本成功、成功率47.4%と長距離砲が爆発。さらにリーグ屈指のインサイド陣を擁する琉球相手にリバウンド争いで優位に立ち、オフェンスリバウンドからの分厚いオフェンスを展開し、105-86と圧勝した。

しかしゲーム2は、前日のリベンジを果たそうと出だしからエナジー満点だった琉球の勢いを食い止めることができず。5選手が12得点以上を挙げるボールシェアの質の高いチームオフェンスで対抗したが、本来の宇都宮らしいタフな守備ができずに88-97で敗れた。

同一カード連勝を逃した宇都宮だが、ともに地区首位でチャンピオンシップ(CS)のシード争いのライバルである琉球相手に2ゲームのリードを維持。さらに得失点差で上回ったことにより、勝敗が並んだ場合の順位が上になることを確定させたのは大きな価値がある。

ゲーム2において要所で得点を挙げ、大量リードでの敗戦を避けるのに貢献したのが遠藤祐亮で、3ポイントシュート6本中3本成功を含む15得点をマーク。そして、守備でも琉球のエースシューターである岸本隆一を密着マークで苦しめ、岸本の代名詞である3ポイントシュートを1本成功に抑え、攻守で質の高いプレーを見せた。

ゲーム2の終了後、遠藤は次のように試合を振り返った。「昨日とは相手の雰囲気やインテンシティが全然違う試合となりました。自分たちも受け身になることなくタフに戦いましたが、相手にリバウンドを多く奪われたり、昨日は抑えていたケヴェ・アルマ選手に31点取られてしまいました。そこをうまく守れたら勝ちきれたと思います」

また、リーグ屈指の熱狂度を誇る琉球のホームで戦う難しさを改めて感じたと語る。「アウェーゲームの中でも、琉球さんは独特の雰囲気があって一番やりにくいです。その中で2連勝する大変さを痛感しました。最初から相手のインテンシティが高くなるのはわかっていたのに、97点も取られてしまいました。もっと準備をして2戦目の難しさを打開できればと思います」

「個人としても隆一とのマッチアップは楽しみ」

上位対決ともなれば、CSでのシード争いも頭をよぎるところだ。遠藤は「後半戦に入って、そのへんも考えないといけないところ」と言いつつも「チーム的にも大変な部分がたくさんあります。まずはCSどうこうよりも今週の2試合と次のホームの千葉ジェッツ戦、この3試合のことを考えています」と、目の前の試合だけに集中するスタンスを取っている。

「タフな状況の中、誰一人、下を向くことなく良い雰囲気でできました。ジーコ(コロネルヘッドコーチ代行)が素晴らしいアプローチをしてくれて、自分たちもそれに応えられるように準備をして、2試合とも良い試合ができました。ヘッドコーチ不在のタフな状況ですが、それを打開できるチームです。1つひとつ目の前の試合をクリアしていけば、良い位置でチャンピオンシップに突入し、良い戦いができる。先を見るよりも一戦一戦を大事にしていければと思います」

ちなみに遠藤にとって琉球戦は、大東文化大の1年後輩である岸本隆一とのマッチアップという大きな楽しみがある。2人は大学時代から実力を評価されていたものの、「世代を代表するスター選手」といった扱われ方はされていなかった。しかし、大卒で入団した宇都宮、琉球への在籍は10年以上となり、ともにリーグ屈指の人気と実力を備えたビッグクラブのフランチャイズプレーヤーとして、不動の地位を築いている。

「隆一には得意の3ポイントをできるだけやらせないことを意識して守って、2日間を通してそれは結構できていたと思います。ただ、アシストを5本されたりと、隆一も34歳なのにスピードがあってつくのが大変でした。また、対戦できる機会があれば2連勝できるように良い準備ができたらと思います」

このように語る遠藤は、岸本とのマッチアップについて「特別な気持ちはあります」と明かす。

「大学生の時、この2人が、バスケットがこんなに盛り上がっている状況でこういう熱い試合ができる中にいることは考えられなかったです。また、ここまで自分たちがいるチームが強くなるとも思っていなかったです。お互いにプロで初めて日本一を経験しました。それを経て彼がすごい選手になっていることを嬉しく思います。琉球と試合をするのはチームとしても楽しみですし、個人としても隆一とのマッチアップは楽しみです。色々と会話をしながら戦えて実際に楽しかったです」

今シーズン中、再び宇都宮と琉球が戦うとしたらCSの大舞台となる。そうなった場合、遠藤が岸本を抑えられるかどうかは勝敗の肝の部分となるはずだ。