インサイドの攻防を制し、三河が逃げ切り
シーホース三河が横浜ビー・コルセアーズのホームに乗り込んだ水曜ナイトゲーム。ペイントエリアでの得点で52-38と上回り、要所のシュートを確率良く決めた三河が88-80で逃げ切った。
横浜の指揮官、トーマス・ウィスマンが「良いディフェンスができて、出だしが決まった」と、振り返ったように、第1クォーターは粘り強いディフェンスを見せ、攻めに転じては竹田謙の連続速攻が出て、橋本尚明の3ポイントシュートで締めた横浜が3点をリードした。
第2クォーターに入っても、川村卓也や田渡凌が確率良くアウトサイドシュートを決めることで、三河に主導権を渡さない。開始4分、田渡のミドルシュートが決まりリードは6点に。しかし、ここから桜木ジェイアールを起点にインサイドを強調した三河の時間がやってくる。
桜木は巧みに身体を使い、このクォーターだけで4個のファウルを誘発し、横浜をファウルトラブルへと追い込んだ。インサイド陣が強く当たれない横浜を尻目に、桜木は老獪なプレーで12得点2アシストと爆発。ケネディ・ミークスもインサイドを攻め立て6得点を挙げるなど、ペイントエリアでの得点で16-4と大きく上回った三河が逆転して前半を折り返した。
追撃を受けるも、後半頭のランで得た貯金が決め手に
後半の出だし、三河はインサイドを締めることで、横浜のオフェンスをアウトサイドシュート中心に仕向ける。横浜の淡白な攻めにも助けられ、ディフェンスリバウンドを確実に保持した三河は、金丸晃輔の巧みな1on1やアーリーオフェンスから熊谷航の3ポイントシュートなど、開始約1分半で8-0と走り、点差を一気に2桁に乗せた。
三河の鈴木貴美一ヘッドコーチは「インサイドで簡単にやられたところがあったので、カバーダウンした。外は入る時と入らない時があるので、向こうが軽い感じで打ってくれました。ハマってくれたというか、ウチのペースになってリードできた」と、その時間帯を振り返った。
その後、途中出場の湊谷安玲久司朱に5連続得点を許し、橋本尚明にオフェンスリバウンドからブザービーターを決められるなど、セカンドユニットに粘られたが、ミークスが4本すべてのフィールドゴールを成功させるなど、インサイドを支配した三河は2桁リードを保ち続ける。
最終クォーター、鳴らない笛に集中力を削がれた桜木の失速とともに、三河も失速。ブランドン・コストナーやスティーブンソンの強引なアタックを止められず、残り1分6秒に田渡のミドルシュートで5点差に詰め寄られる。ただ、最後は横浜のシュートが決まらず、辛うじて逃げ切った。
「20年の中で2回目にならないように」
勝利した鈴木ヘッドコーチは「横浜さんは良いシューターもいるし、外国籍選手もパワフル。我々も油断するとすぐやられてしまうので、最後まで集中して、なんとか逃げきれて良かった」と総括した。
横浜の指揮官ウィスマンは、インサイドを支配され88失点を喫したディフェンスを敗因に挙げた。「ディフェンスができるメンバーが少ない分、ディフェンスの強度を持続するのはなかなか難しい。ペイントで52点取られてしまったことが一番痛かった。穴があると強度が下がってしまい、それに伴ってエナジーも下がってしまう」
三河にとっては、チャンピオンシップ進出に望みを繋ぐ価値ある勝利となった。「今シーズンはスタートが3人変わり、時には金丸とジェイアールが出れなくて、5人とも新しいラインナップでやったり、その中でよくやっていると思っています」と、苦戦しながらもチャンピオンシップに手が届く位置にいるチームに対して、鈴木ヘッドコーチは一定の評価を与えている。
それでも「20年の中でプレーオフに出てないのは1回だけなので、その2回目にならないように頑張っています。厳しい状況ではありますが、最後の最後までプレーオフはあきらめない」と、常勝軍団を作り上げたプライドを胸に、鈴木コーチは前だけを見つめいてる。
現在、ワイルドカード下位でのチャンピオンシップ出場圏内にいる名古屋ダイヤモンドドルフィンズが琉球ゴールデンキングスに敗れたため、そのゲーム差は1に縮まった。残り4試合で1ゲーム差は射程圏内と言える。激動のシーズンを送る三河が、逆転でチャンピオンシップに進出する可能性は決して低くない。
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