ラウリ・マルカネン

層の厚さを活用するもプレーオフ進出はいまだ見えず

ジャズはトレードの噂もあったラウリ・マルカネンと4年総額1億9600万ドル(約300億円)の契約延長をまとめ、ひとまずはマルカネン中心のチーム作りを続けることと決めました。その一方でこの2年間で5人をドラフト1巡目で指名しており、中堅と若手が入り混じったロスター構成はやや中途半端にもみえます。

昨シーズンはプレータイム上位3人はマルカネン、ジョーダン・クラークソンとジョン・コリンズで、コリン・セクストンやシモーネ・フォンテッキオもスターターとしてプレーしました。中堅の実力者で基盤を作り、ポテンシャルの高い若手をベンチから起用することで、層の厚さを活用した戦い方は一定の成功を収めていますが、まだプレーオフ進出を現実的な目標とするには至っていません。

若手に目を向けると各ポジションに有望株が揃いました。強気なシューティングとテンポの良いパスをみせたキヤンテ・ジョージと攻守両面でフィジカルな強さをみせたブライス・センサボーのガードコンビ、今年のドラフト1巡目10位で指名した万能なコディ・ウィリアムズとスピードのあるビッグマンのテイラー・ヘンドリックス、そしてウォーカー・ケスラーと若手5人でスターターを組むことも可能です。

中堅と若手が噛み合い、層の厚さを活用したハードワークとトランジションの戦い方が機能すれば勝ち星が増えそうですが、一方でチームの将来を考えれば目先の勝利よりも若手の成長を優先すべきにも見えます。何が正解なのかは難しいものがありますが、オフボールムーブでアドバンテージを作り出すマルカネンを中心にした戦術を完成させるには、個々の選手が成熟する必要があるだけに、若手に多くのプレータイムを与える方が好ましい気がします。

ジャズはウォーカー・ケスラーがトレード候補として挙げられるなど、有望な若手を見いだしても簡単には納得せずに次の若手に目が行く傾向にあります。様々な選手が活躍していくチーム戦術は見事ですが、マルカネン中心に勝ちに行くチームを作るのか、それとも若手を育成し長期スパンでのチーム作りを行うのか。再建も3年目となる今、方向性を明確にする必要があります。