安定したボール運び、相手を引き付けてアシスト連発
現地10月12日、グリズリーズvsブルズのプレシーズンゲームに河村勇輝が出場し、24分で2得点8アシストを記録。124-121でのチームの勝利に貢献した。
グリズリーズにとっては3試合目のプレシーズン、14人と多くの選手を起用した先の2試合とは違ってジャ・モラントやデズモンド・ベインといった主力が出場せず、11選手でのローテーションが組まれ、第4クォーターのみ9分に限定されていた河村の出場機会も第1クォーターからの24分と大幅に伸びた。
最初の見せ場はすぐに訪れた。味方のファンブルによるルーズボールを鋭い出足で追いかけて相手に奪わせず、そのまま2人のディフェンスに囲まれる形となったが、動くスペースも考える時間もない中で冷静に味方に繋いで窮地を脱する。そして最初のアシストは、スピードを生かしてゴール下までドライブし、ディフェンスの注意を引き付けてのノールックパスだった。
その直後には相手のドライブするコースを塞いでトランジションディフェンスで強みを見せており、ミスマッチを強引に攻めるベテランのトーリー・クレッグのドライブのコースを読み切ってオフェンスファウルを引き出すシーンもあった。
その後もドライブの緩急でディフェンス2人を引き付け、がら空きのゴール下に走り込むザック・イディーにパスを合わせてイージーダンクを演出。河村のパスから味方が3ポイントシュートを確率良く決めたこともあって、アシストは順調に伸びていった。
河村のアシスト量産は安定したボール運びによって生み出されている。ボールを運ぶところで相手ディフェンスにプレッシャーをかけられても巧みなボールコントロールでかわし、相手が必要以上に詰めてくれば一瞬の加速で抜く気配を見せ、逆にプレッシャーをかける。こうしてアタッキングエリアまで危なげなくボールを運び、ディフェンスが我慢しきれず2人がかりで止めにくれば、それによってオープンになった選手を瞬時に見付け出してパスを出す。河村がBリーグで培ったボール運びの安定感、そこからのプレーメークはNBAでも十分に通用すると言っていいだろう。
課題はシュートで、この試合でも5本を放つもすべて失敗。得点はフリースローによる2だけで、24分の出場時間でオフェンスを引っ張っていた選手としては物足りない。ドライブでペイントを攻めるところまでは行けているが、フィニッシュでは相手の高さ、寄せのプレッシャーに負けている状態。ここをどう改善して乗り越えるかがチーム定着のカギになりそうだ。
それでも、一番の懸念だったサイズ不足によるディフェンスの難を露呈することなく、プレーメークでは及第点よりかなり上。前の試合ではオフェンスを引っ張る意欲が弱くて本来のパフォーマンスを出せなかったが、すぐに修正してきたのもプラス要素だ。河村はNBAのバスケに素早く順応しつつある。
Relentless Effort. pic.twitter.com/rLFFDKOtUf
— Memphis Grizzlies (@memgrizz) October 13, 2024