コービー・ホワイト

ザック・ラビーンは若手をサポートする役回りへ?

ブルズのバスケットボール運営部代表のアルトゥラス・カルニショバスは「タンクをするつもりはない」との考えを示した。しかし、今オフにはフリーエージェントとなったデマー・デローザンを引き留めることができず、ジョシュ・ギディーの獲得も将来性はあるにせよ直近のことだけを考えればアレックス・カルーソ放出のマイナスが目に付く。2シーズン連続でプレーイン・トーナメント敗退で、チームは若返る方向に進んでいる現状、中途半端ではなく再建でやり直すのも手だろうが、ブルズにその考えはないようだ。

トレーニングキャンプ開始を前に、ブルズの選手の多くがすでに集まってトレーニングを開始している。シカゴのユナイテッド・センターが民主党全国大会の会場となったために使えず、選手たちはマイアミに集まり、ホテルのジムを貸し切りにしてワークアウトを行ったという。この時期のトレーニングはクラブの管轄外で、その費用はベテラン選手たちが負担した。ザック・ラビーンもその一人だ。

トレードが噂されたが、ケガを抱えている上にまだ3年1億3600万ドル(約200億円)の重い契約を残しているとなれば話はまとまらない。ラビーンはブルズで8年目のシーズンを迎えるにあたり、若手の成長に協力することを約束させられたという。2月に右足の手術で彼がシーズン終了となった後、ブルズではコービー・ホワイトが急成長し、アヨ・ドスンムも良い働きを見せた。その成長を妨げないために、ラビーンは今までよりもオフボールでの動きを増やすことになりそうだ。

その代わりに多くのチャンスを託されるのはコービー・ホワイトだ。豊作の2019年NBAドラフトの1巡目7位指名を受けたホワイトは、5年目の昨シーズンに先発に定着して24.0得点のデローザンに次ぐ19.1得点を記録。デローザンが退団した今シーズンはプレーメークをギディーに任せ、点を取ることにより集中することになるだろう。

強力なドライブと、コンタクトを受けながらも決めきるフィニッシュの精度でブレイクを果たしたホワイトは、「僕らは若いチームで、そのカテゴリーから一歩先へと抜け出そうとしている」と語り、その成長スピードを緩めることなく駆け抜けるつもりだ。

彼はデローザンのプロフェッショナルとしての姿勢を敬愛していた。デローザンの退団にショックを受けながらも、すぐ近くで彼を見て学んだことを生かそうとしている。「彼はロッカールームで一番声を出すタイプではないけど、いつだって一番乗りだった。バスの時間もミーティングも一番乗りで、常に準備万端だった。このリーグで年長者になった時にどんな選手でありたいか、彼の姿から学んだように思う」

デローザンとラビーン、ニコラ・ブーチェビッチの『ビッグ3』は失敗に終わった。それでもラビーンが新たな役割を受け入れて再生し、デローザンのレガシーをホワイトが引き継ぐことができれば、ブルズは苦境を抜け出して良い方向へと向かうはずだ。