現在27歳。特別指定時代から足掛け7シーズン。アルバルク東京のロスターの中でも古株となった小酒部泰暉にとって昨シーズンは、自らの弱みを痛感させられると同時に、自分らしさの根源を再確認するシーズンとなった。率直な思いを語ったインタビューの前編。
積極性が失われた後半戦
──少し日焼けされましたね。オフはどう過ごしたんですか?
今年はあまり遠出せず、けっこうゆっくり過ごしましたね。
──去年のオフにお話しする機会があったとき「オフはボールすら触りません」とおっしゃっていましたが、そこは今年も変わらずですか?
そうですね。シーズンに入ると嫌でもバスケットをやらないといけないので、休める時に休もうという感じです。
──まずはレギュラーシーズン44勝12敗、天皇杯準優勝、チャンピオンシップクォーターファイナル敗退に終わった昨シーズンの振り返りから聞かせていただけますか。
前のシーズン(2023-24)で出た『オフェンスの積極性』という課題を改善しようという意識でシーズンに入りました。良いスタートダッシュが切れたんですが、天皇杯決勝の後くらいから一歩ひいてしまうというか、積極性を出せなくなってしまって。チャンピオンシップでもそれを解消できず、調子が上がらないまま終わってしまったので、1シーズンを通して積極的に攻めるという課題が見つかったシーズンでした。
──『オフェンスの積極性』という課題はチームスタッフから挙がったものですか?それともご自身ですか。
自分で考えました。琉球ゴールデンキングスにCS(チャンピオンシップ)で負けて、「やっぱり得点を取らないといけない」と思ったことで意識が変わりました。
──天皇杯決勝ごろまでうまく表現できていた積極性が、失われてしまったのはなぜだったのでしょう。
シーズン前半は安藤(周人)やレオ(レオナルド・メインデル)のシュートタッチが合っていなかったこともあって、より「やってやろう」という気持ちでプレーしていました。ただ……これは言い訳に過ぎないんですが、天皇杯くらいから彼らのタッチが戻ってきて、得点を狙うことよりアシストとかサポートに回ろうかな、という気持ちが出てしまったところが原因かなと。もちろんシュートを狙いはしていたんですが、気持ちが一歩ひいてしまったことでタイミングやタッチに影響してしまったという感じです。
──そのような状況をどうやって打開しようとしていたのですか?
「シュートが入らなくても考えすぎないように」とは言い聞かせていましたが、試合中になるとやっぱり考えてしまってモヤモヤしていたところがありました。吹っ切れ方が微妙だったかなと思います。
「攻守の両立って、なかなか難しい」
──大学時代の小酒部選手は「点を取る」という役割に集中していましたし、アルバルクに入団した当時も「まずはディフェンス」という意識だったとお話しされていました。プレーの判断は今よりもシンプルだったわけですよね。
アルバルクに入った当時はディフェンスができないと試合に出られないと思っていて、「ディフェンスから流れをつかんでオフェンス」という意識で重点的にやっていたら、自信を持ってディフェンスができるようになりました。昨シーズンはそこにオフェンスがついてくれば……という感じ。今シーズンはそれを1シーズン続けることが課題です。
──シーズンごとに課題をクリアし、ステップアップしている一方で、やれることが増えたがゆえにプレーが複雑になり、選択に迷うことも出てきた。
そうですね。オフェンスとディフェンスの両立ってなかなか難しいなって思っています。ディフェンスを精一杯やっていたらオフェンスの足が残っていない、ということがけっこうあって、山口コーチ(山口祐希アシスタントコーチ兼スキルコーチ)には「うまく抜きどころを作ろう」と言われています。
2シーズン前くらいまでは「シュートが入らなかったらディフェンスに振り切ろう」という意識でしたが、今はそこで攻めることをあきらめない、シュートを入れていかなければいけないという意識です。基本的には相手のキープレーヤーにマッチアップすることが多いので、そこでのディフェンスは妥協できません。うまくやらなきゃいけないな、と考えています。
──シーズン前半は山口コーチの言う「抜きどころ」が作れたからオフェンスがうまくやれていたということなんでしょうか。
……なんか、わからないんですよ。うまくいってる理由って。苦しくなったときに課題が見えてくるというか。うまくいっているときは集中できているからシュートも入るし、パスをさばく・アタックするの判断がよく見えてるのかな、というふうに思っています。入らなくなったとき、苦しくなったときの課題の改善の仕方がなかなかまだ見つけられてないっていう感じですかね。
──シーズンが終わり、振り返りの時間もあったと思いますが、それを解決するヒントみたいなものは見えましたか?
後手に回らないことというか、積極性を失わないことですかね。やっぱり僕は気持ちの部分で後手に回っちゃうとうまくいかないのかなと。どんだけうまくいかなくても、積極性を持ち続けなければいけないなって思っています。