後半に圧倒して逆転勝ち「後半はしっかり1対1で守ろうと話していました」
9月23日、群馬クレインサンダーズは天皇杯2次ラウンド最終日に川崎ブレイブサンダースと対戦。後半に地力の違いを見せ、99-83の快勝で3次ラウンド進出を決めた。
試合の立ち上がり、群馬はロスコ・アレン、アリゼ・ジョンソンの両ビッグマンが積極的にボールプッシュを行う、川崎のスピードに乗ったオフェンスを止めるのに苦労する。その結果、トランジションからノーマークを多く献上し、効果的に3ポイントシュートを決められ、43-50とリードを許してハーフタイムを迎える。
しかし、後半に入ると群馬は、前半の課題をしっかりと修正。川崎のトランジションを抑えることで、試合のペースを引き寄せる。そして今シーズンより加入した藤井祐眞が、持ち前の攻守に渡るハッスルプレーで勢いを与える。さらに、この試合で23得点を挙げたドイツ代表のビッグマン、ヨハネス・ティーマンが確率良く得点することで、第3クォーターに26-11と圧倒して逆転に成功。第4クォーターも主導権を握り続けて危なげない展開で逃げ切った。
ティーマンと共に逆転劇の立役者となった藤井は、昨シーズンまで10年間在籍した古巣・川崎との一戦で3ポイントシュート4本成功を含む19得点5アシストを記録した。
「前半は相手に気持ちよくプレーされて、3ポイントをなかなか止めることができませんでした。ビッグマンのボールプッシュに対してオーバーヘルプしてしまい、オープンを作らせてシュートを打たれてしまいました。(ハーフタイムに)後半はしっかり1対1で守ろうと話していて、それができました。オフェンスもリズム良くできたので、後半は良い形が作れてよかったです」
このように藤井は試合を総括し、ディフェンスの立て直しに成功したことを勝因に挙げる。そして、Bリーグのシーズン開幕前に早くも実現した真剣勝負での古巣対決について、「(前日の試合で)川崎が勝って『いきなり川崎か』という気持ちもありました」と語る。
また、試合前には、長年在籍したチームとの対戦ならではの感覚に陥っていたと明かす。「試合をやるのは楽しみでしたけど、試合前のミーティングで川崎の映像を見ている時、ちょっと不思議な感覚でした。自分がいないのはわかっていますけど、自分の姿を探してしまうような感じがありました」
「コントロールはまだまだ成長できる部分だと思います」
群馬で新たなスタートを切った藤井だが、「川崎での10年間があるからこそ今の自分がある。本当に感謝しています」と強調するように、これからも川崎での経験はかけがえのないものとして彼の根幹にあり続ける。
群馬でやるべき仕事については「変わる、変わらないで言ったら変わらないです」。「10年間川崎でやってきた自分の良さ、プレーを見て誘ってもらっています。強みを生かしていきたいです」と、持ち前のエナジー満点のプレーでチームをけん引していく。
そしてさらなる進化を目指し、司令塔としての役割に磨きをかけたいと話した。「チームにはトレイ(ジョーンズ)、(細川)一輝、故障から復帰する辻(直人)さんなど得点を取れる選手がたくさんいます。(川崎では)ニック(ファジーカス)とのツーメンゲームで崩すところから始まり、苦しい時でもそこから打開してやろうという自信がありました。でも群馬では誰かが勢いに乗った時、相手の弱いところを突く時はしっかりとコントロールすることがより大切になります。この部分はまだまだ勉強中で、成長できる部分だと思います」
天皇杯3次ラウンド進出を決め、今の藤井がフォーカスしているのは広島ドラゴンフライズとの開幕戦となる。その後も目の前の試合に集中していくことに変わりはないが、今から1ヵ月後の10月25日、26日は早くもリーグ戦で川崎と再戦。慣れ親しんだ川崎ホームのとどろきアリーナが舞台だ。
「川崎はサッシャ・キリヤ・ジョーンズ選手が出ていなかったですし、僕らも辻さんが出ていない。今日はお互いがベストメンバーでない状況だったので、次は同じ展開にはならないと思います。ただ、川崎がこういうバスケをしてくるんだということは頭に入りました」
こう語る藤井は、次のように恩返しへの意気込みを語る。「次は川崎のホームで雰囲気はまた違ってきます。ブーイングをされるくらいの活躍をしたいと思います」
移籍が日常茶飯事のプロスポーツ界では、確かなチーム愛がなければ10年間も1つのチームでプレーすることはできない。その気持ちを藤井が、コート上でどんなプレーで表現するのか。彼の古巣凱旋試合には多くの人が注目している。
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