ジャマール・マレー

「100%のコンディションでなかったのは分かっている」

ジャマール・マレーはプレーオフとオリンピックを不完全燃焼のまま終えてオフを迎えている。レギュラーシーズンは21.2得点、フィールドゴール成功率48.1%、3ポイントシュート成功率42.5%のすべてがキャリアハイと結果を残したが、プレーオフでは不発。そのクラッチ力、ニコラ・ヨキッチとの『阿吽の呼吸』はプレーオフの舞台でこそ輝くものだが、今回の彼は常にイライラしながらプレーし、決定的な仕事は果たせないままだった。

カナダ代表ではシェイ・ギルジャス・アレクサンダーに主役の座を譲り、セカンドユニットの得点源という役割を担ったが、それも十分に果たせず。フィールドゴール成功率29.0%の6.0得点に終わり、チームもベスト8止まりと結果を残せなかった。

そして今、残り1年となっているマレーとナゲッツの契約延長交渉は進展を見せていない。4年総額2億900万ドル(約310億円)での契約延長がオリンピック終了後すぐにまとまると見られていたが、何のニュースもないまま半月が経過した。

トレーニングキャンプ開始まであと1カ月。ナゲッツはすでにサラリーキャップのコントロールに四苦八苦しており、膝に大ケガを負った2021年以降はコンディション管理に苦しむマレーを以前ほど評価していないのだとしたら、この1カ月で重大な決断が下される可能性がある。契約延長がないまま新シーズンを迎えるのをマレーが好まないのは間違いない。それでチームに不協和音が起きるなら、その前にトレードで『問題を片付ける』手法はよく使われる。

すべてはナゲッツが今のマレーをどう評価しているか次第。そんな状況で、ナゲッツ球団社長のジョシュ・クロエンケはゴルフのプロアマ大会に参加した際に『Denver Post』の取材を受け、「プレーオフでもオリンピックでも、ジャマールが100%のコンディションでなかったのは分かっている」と語った。

「100%のコンディションでなくても、ジャマールのような選手は出場すれば全力で戦うものだ。シーズン終盤、プレーオフ、オリンピックの出来に関心が集まるのは理解できるが、我々はシーズン全体を、さらにここ数年全体を見る。彼がプレーした試合数、その身体にどれだけの負担がかかったか。彼の場合は、それがレギュラーシーズン終盤に現れてプレーオフにも影響した。彼はタフな人間だからそれでも戦い続けた。普通の選手だったら戦線離脱するようなダメージを抱えていても、彼はチームに必要とされればプレーするんだ。そのことが過小評価されている」

大ケガを負った膝の状況について、クロエンケ球団社長は心配していないと言う。すでに膝は完治しており、一昨シーズンの優勝で彼のパフォーマンスに問題がないことは証明済み。直近で彼を苦しめたのは、ふくらはぎの肉離れと足首の痛みで、中長期的な問題ではないとの認識だ。

「ジャマールはNBAでもトップクラスの選手だ。オリンピックではフラストレーションを感じていたと思うが、それも新シーズンに向けたモチベーションに変えてくれるはずだよ」