「これからの京都精華学園がどう成長していくか」
京都精華学園は去年のインターハイ、トップリーグ、ウインターカップの『3冠』を達成したが、その強さを長らく支えた堀内桜花、八木悠香、ディマロ・ジェシカといった主力が揃って卒業して、フレッシュな顔ぶれのチームとなった。インターハイ初戦は市立前橋を寄せ付けず106-74と完勝したが、山本綱義ヘッドコーチはチームの戦いぶりを「オフェンスもディフェンスもメインが定まっていない、グチャグチャの状態。阿吽の呼吸のような良いプレーもありましたが、自分たちの形というよりは、たまたまです」と評する。
ただ、これは想定内の出来事で、山本ヘッドコーチは「新たな道を自分たちで作ろうというところなんです」と続ける。「先輩たちが築いた実績にこだわり、同じようなチームを作らなあかんみたいに思いすぎて、それでチームがまとまらない。一戦一戦でいろんなことを学んでいく。そんなに上を見てやっているわけではありません。これからの京都精華学園がどう成長していくかを見ていただければありがたい」
今年のチームでキャプテンを務めるのは林咲良。「今年はスター選手がいないし、試合経験のある選手も少ない」という彼女自身も、昨年までは堀内に次ぐ2番手のポイントガードではあったが、それほど多くのプレータイムを得ていたわけではない。それでも「緊張してプレーすると固まってしまいます。自分が落ち着いてプレーすることで周囲にそれが影響して、みんなも落ち着いてプレーできると思うので、そういったゲームコントロールを意識しています」と、リーダーとして取るべき立ち居振る舞いは理解している。
「自分が落ち着くことで周囲にそれが影響する」
代が変わっても世間から『優勝候補の女王』と見られることからは逃れられない。明日の3回戦では早くも桜花学園との対戦が待ち構えており、重圧のかかる局面だが、林はそれでも「私は結構ワクワクしてします」と強心臓ぶりをのぞかせた。
「今日は初戦ということもあってか出だしからディフェンスが徹底できず、ハリーバックが遅くて点を取られました。桜花学園が相手でも最初にグダってしまう部分は出てしまうかもしれませんが、それでもしっかり切り替えてやれば絶対に勝てると思っていますし、徹底すべき部分を全員で徹底して戦いたいです」
「自分のマッチアップは三國ソフィアエブスさんか竹内みやさんで、2人ともスピードがありますが、そこにこだわらずに自分らしいバスケをして、インサイド陣も含めて全員で声を掛け合って頑張りたい」
会場の福岡市総合体育館は、大会2日目にして満員御礼となった。明日の桜花学園では今日以上の熱気の中でプレーすることになる。林は「福岡まで来てくださっているので、その恩返しの意味でも明日勝てたら」と語る。「明日に限らず一戦一戦を全員バスケットで、応援席もメンバーも一緒の声掛けをしながら戦っていきたいです」