プレーオフ前哨戦、見応え十分となったリラードとウェストブルックのガチンコ対決

2019/03/09
NBA&海外
8935

NBA

文=神高尚 写真=Getty Images

エース同士が正面からぶつかり合うマッチアップに

勝率で並ぶ4位サンダーと5位ブレイザーズ。このままプレーオフに突入すれば直接対決となる顔合わせは、その前哨戦とばかりに両チームが激闘を繰り広げ、身体をぶつけ合い時にはラフファイトも起きれば、ルーズボールに食らいついて勝利への執念を見せる好ゲームになりました。

普段は多くのベンチメンバーを起用するブレイザーズはコートに出す選手を絞ります。対するサンダーはいつも以上にラッセル・ウェストブルックとポール・ジョージばかりがシュートに行きます。これはプレーオフに向けた情報収集よりも、少しでも相手に苦手意識を植え付けようとしているようにも見えます。プレーオフでの対戦もあり得る両チームが全力で正面衝突した試合は、エース同士もまた正面からぶつかり合うことになりました。

どちらもハードワークをベースとし、似たような選手構成ながら、大きな違いとなったのは両ポイントガードのマッチアップでした。冷静なゲームメークが光るデイミアン・リラードと、身体の中にあるすべてのエナジーをぶつけるようなプレーのウェストブルックは好対照です。

トリプルダブルを量産するウェストブルックは、ディフェンスリバウンドから速攻に持ち込むのが最大の魅力。その持ち味を生かすために普段は相手エースとの直接のマッチアップを避ける傾向があります。しかし、サイズのあるウイングを並べ、ガードにはもう一人のエースであるCJ・マッカラムがいるブレイザーズが相手だと、リラードを守ることが多くなります。

屈強なユスフ・ヌルキッチのスクリーンに阻まれながらも、驚異的な運動量で追い掛け回していくウェストブルックのディフェンスは、単なる運動能力以上に動きが読めない一面もあって極めて厄介なのですが、冷静なリラードは意に介しません。

シュートフェイクを織り交ぜ、一度は追いつかせるようにスピードを落としながら、急加速で置き去りにしてレイアップを決めれば、ヘルプが寄って来るとゴール下まで深く切り込んからのキックアウトパスを通して、サンダーディフェンスを切り刻みます。

元々得点力のあるポイントガードですが、向かってくるウェストブルックを手玉に取るような鮮やかなプレーを連発し、そして時には仕掛ける雰囲気のないモーションからロング3ポイントシュートを決めて見事にオフェンスを牽引しました。

リラードのディフェンスに手を焼き、チャージングもしてしまうなど、いつもの破壊力を出せないウェストブルックでしたが、この試合はシュートタッチの良さが目立ち、3ポイントシュートを次々に決めていきます。さらにヌルキッチとの小競り合いを機に会場から浴びたブーイングを力に変え、逆に段々と集中力を増し始めていきます。前半だけで6つのターンオーバーをしながら、それ以降は2つのみと違いは明らかでした。

ただし、この試合のウェストブルックのアシストはわずかに3つ。サンダーはチームとしても14とアシストが伸びません。これはブレイザーズのディフェンスがパスを出すのを許さないほどに激しく、アシストパスが通りそうになったらファウルしてでも止めたからでした。

一方のリラードが9つのアシストをしながらチームとしては同じく14のみだったブレイザーズ。サンダーのディフェンスはリラードをウェストブルックに任せ、それぞれが個人同士のマッチアップで負けないことを優先しました。ウェストブルックはリラードにやられても、周囲は自分の相手を抑え込んでいきます。

オーバータイムにもつれ込むと、変わらずリラードを守るウェストブルックに対して、ブレイザーズはスタミナも考慮してかリラードがウェストブルックをマークする機会を減らしました。これで逆にウェストブルックは楽になり、オーバータイムのチーム得点の半分となる8点を稼ぎました。リラードも変わらず得点していきますが、周囲が完全に止められてしまい、51点を取りながらもチームは敗れたのです。

どの局面でも激しい戦いがあった今シーズン最後の直接対決は、全力で相手を潰しに行き、そしてどちらも潰されないタフな戦いの末、最終スコア129-121でサンダーが勝利しました。

リラードは直接のマッチアップでは明らかにウェストブルックを上回りました。敗れたもののウェストブルックのエネルギーをすべて無効化する冷静なプレーをサンダーはどう対策するのでしょうか。一方のウェストブルックはリラードにどれだけやられても、会場のブーイングを浴び続けても、全く衰えないエネルギーと集中力を発揮し、最終的にチームに勝利をもたらしました。弱点も多いですが、試合展開を変えるエネルギーにブレイザーズもまた頭を悩ませるでしょう。

実際にプレーオフで対戦した場合は、どちらが勝つにしても疲弊してしまうのは間違いなさそうで、他のチームは喜ぶかもしれません。実力均衡の西カンファレンスだけに組み合わせ次第でプレーオフの展開も大きく変わってきそうです。