大きなルディ・ゴベアの小さな進化、ジャズのビッグマンは『守備専任』から脱却中

大きなルディ・ゴベアの小さな進化、ジャズのビッグマンは『守備専任』から脱却中

2019/03/06 11:30

ルディ・ゴベア

文=神高尚 写真=Getty Images

パサーのお膳立てを効率良く得点に繋げる術を学ぶ

ルディ・ゴベアはディフェンス力に優れたビッグマンですが、今シーズンはキャリアハイの得点を稼いでおり、オフェンス面でも自信を深めています。

もっとも、キャリアハイとはいえ平均15点程度で、大きな成長を遂げたようには思えません。センターであっても3ポイントシュートを得意とし、様々な得点パターンを持つ選手が増えているNBAにおいて、ジャンプシュートの確率が30%に満たないゴベアは、ゴール下を押し込むだけの芸がないビッグマンにも見えます。しかし、単に押し込んでいるだけのようなゴベアにも、見えにくいけど確かな進化が認められます。

圧倒的な高さを誇り、跳んでしまえば誰も届かない高さからシュートを打てるゴベアなので、フィールドゴール成功率は65%近くの高確率で決めています。それでもジャンプシュートが武器にならないだけではなく、ポストアップから個人技で攻め込むようなパターンも持ち合わせていません。

得点のほとんどがリッキー・ルビオ、ジョー・イングルス、ドノバン・ミッチェルというパスが上手いガード陣にお膳立てしてもらうか、リバウンドを押し込むかのどちらかです。圧倒的な高さをチームメートに有効活用してもらうことで得点が生まれるとも言えます。

しかし、ゴベアがもらうパスの本数は昨シーズンよりも減っています。その一方でシュートアテンプトは増えました。それは平均1本に満たない、わずかな差でしかありませんが、その差にゴベアが成長した確かな軌跡が込められています。

圧倒的な高さがあるゴベアが「ゴール下を押し込む」のはイージーなプレーに思えますが、世界最高峰の舞台ではワンドリブルでも使えばガード陣がボールを弾きにきますし、ドリブルをしなくてもボールをもらってからシュートまでに時間をかけると、跳ぶ前に後ろからのブロックが来ます。実際にチームメートのミッチェルはガードながらビッグマンのシュートでも叩き落しています。

これまでのゴベアはパスを受ける体勢が悪く、無駄にドリブルをするケースが目立ちました。パスの上手いチームメートがゴール下に出しても、キャッチしてから体勢を立て直し、ここに一瞬多く時間をかけてしまったことで複数のディフェンダーに囲まれてシュートを打ち切れなかったのです。圧倒的な高さを十分に使い切れていない、それが昨シーズンまでのゴベアでした。

オフには「ジャンプシュートを練習する」といった情報もありましたが、実際にシーズンが始まるとジャンプシュートはほとんど打たない一方で、無駄な動きが省かれたプレーぶりを披露しています。パスを待つ時点でシュートに繋がる体勢を整えられるようになり、また少しバランスを崩してもドリブルを使わず1ステップで立て直し、素早くシュートへ持っていくシーンが増えました。

その効果は数字にも表れます。ダンクの数が164本から251本へ大幅に増えました。ゴベアがダンクするのは当然のように思えますが、ゴベアといえどもNBAのビッグマンに囲まれたらダンクに行くのは難しいものです。すなわち「囲まれる前にダンクに行ける」のが昨シーズンとの大きな違いになっています。

特に38本だったアリウープはすでに100本を超えました。いかに「パスを受ける前に体勢を整えているか」が分かります。パサーのプレーに合わせて細かくポジション調整し、適切な体勢をとることでシュートまでの一連の動作をスムーズにし、これまでより一瞬早くパスに反応できていることが、この数字に繋がっています。

NBA選手にとって「ゴール下を押し込む」のは簡単そうに思えますが、押し込むまでの準備が整っていないと簡単に潰されてしまうという現実もあります。これまではその圧倒的な高さに頼っていたゴベアですが、今シーズンは「押し込む準備」の意味での質が上がり、ジャズのチームオフェンスの中でスムーズなフィニッシュを実現しています。

オールスターに選ばれず悔しい思いをしたゴベア。それは今シーズンの自分自身がしっかりと成長していると感じているからこその悔しさだったのでしょう。

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