ミスが多くても勝ちきれた理由は「ディフェンスとリバウンド」
琉球ゴールデンキングスは、チャンピオンシップ(CS)クォーターファイナルでアルバルク東京と対戦した。ダブルオーバータイムの激闘を制した第1戦、4点差で惜敗した2戦目を経て実施された第3戦も、序盤から僅差で得点が推移する息詰まる戦いとなったが、58-57で競り勝ち、6回連続となるCSセミファイナル進出を決めた。
第3戦の琉球は最後になんとか勝ち切ったが、ターンオーバーが目立ち、試合残り30秒以降で得たフリースローが4本中1本しか成功せず。桶谷大ヘッドコーチが「正直、このフリースローの確率(19本中9本成功)、アシストとターンオーバーの割合(8/16)でよく勝てました」と振り返る内容だった。
決して良いとは言えないプレーの質でも勝ちきれた理由を、指揮官は「ディフェンスとリバウンド」と話す。
「昔からよく『Offense sell the ticket、Defense win the game, Rebound win the championship』(オフェンスはチケットを売り、ディフェンスで試合に勝つ。リバウンドがチャンピオンシップをもたらす)と言われています。いかにリバウンドを最後まで取りきれるのか、勝負どころでリバウンドを制したのが大きな勝因だったと思います」
A東京のインサイド陣は帰化枠のライアン・ロシター、外国籍のセバスチャン・サイズとアルトゥーラス・グダイティスと、リーグ随一の陣容だ。その難敵相手にゴール下で互角に渡り合い、ここ一番でリバウンドをとれた理由は、レギュラーシーズンでうまく噛み合わずに苦しんだ、帰化枠のアレックス・カークと外国籍のヴィック・ロー、アレン・ダーラムを起用する『3ビッグ』がはまったことが挙げられる。
特に第3戦の終盤、桶谷ヘッドコーチはこれまでになく3ビッグを引っ張り、選手たちはその期待に応えた。また、レギュラーシーズンではほとんど使っていなかったカーク、ジャック・クーリーの両センターの同時起用も効果的だった。
3ビッグ、ツインタワーの両方にからんだカークに関して、桶谷ヘッドコーチは「アレックスのディフェンスは試合を重ねるごとに良くなりました。1試合目は一番やられていて、2試合目はよくなって、3試合目はほぼ完璧に相手ビッグマンを守ってくれました」と称えている。
「竜三がスーパーアップセットを成し遂げてくれたので、僕もやるしかないなと」
相手のロースターによって相性の良し悪しはあるにせよ、レギュラーシーズンでほとんど試していない上にあまり機能していない布陣をCSの大舞台で使うのは勇気がいるもの。桶谷ヘッドコーチの背中を押したのは、盟友である越谷アルファーズの安齋竜三ヘッドコーチだった。
越谷はCSクォーターファイナルと同時期に行われていたB2プレーオフのセミファイナルでアルティーリ千葉に連勝し、初のB1昇格を達成。レギュラーシーズンの成績はA千葉の56勝4敗に対し、越谷は35勝25敗、直接対決もすべて接戦だったとはいえ4戦全敗だったが、越谷はB1昇格のかかる大一番で驚異的な勝負強さを発揮して番狂わせを起こした。
桶谷ヘッドコーチは安齋ヘッドコーチの名采配を「めちゃくちゃ刺激になりました」と語る。
「試合前にも『桶さん、今日ちゃんと決めてくださいね。僕は先に行っているんで』と連絡が来ました。それで、『やらないとあかんな』と心に火がつきました。ヘッドコーチ同士だからこそわかることがいっぱいある中で、竜三はいろいろと察しながら『次は勝てますよ』と言ってくれて、すごく勇気づけられました。竜三がああやってスーパーアップセットを成し遂げてくれたので、僕もやるしかないなと」
そして「『レギュラーシーズンでやっていないことをやるんだ、この人は』と思いました。彼のしたたかさ、チャレンジする気持ちが僕に乗り移ったかなと思います」と続けた。
いよいよ明日からCSセミファイナルとB2ファイナルが始まる。琉球は千葉ジェッツ、越谷は滋賀レイクスターズと対戦。琉球は千葉Jに天皇杯で大敗し、越谷もレギュラーシーズンでは2試合とも2桁点差で敗れている。ともに逆境で迎える難敵相手のビッグゲームでどんな仕掛けをしてくるのか、2人の指揮官の采配にも注目だ。
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