ジャマール・マレー

「正しいエネルギーを持ってコートに立つことがすべて」

デンバーでまさかの連敗を喫してから中3日。この期間がナゲッツに落ち着きを取り戻させ、立ち直らせるのに大きな役割を果たした。ティンバーウルブズの本拠地、ターゲット・センターの観客は、ジャマール・マレーがボールを持つと大ブーイングを浴びせた。第2戦でウルブズのディフェンスに完璧に抑え込まれたマレーは、イライラを爆発させてベンチからコートに物を投げ込んだことでウルブズファンの『悪役』となった。

それでもマレーは落ち着いていた。「ブーイングは予想できていた。それでもコートに出て行くのが楽しみだったよ。集中して、チームメートのために良いプレーをやるんだと気合いが入っていた」と語る。

ヨキッチは「聞こえなかったな。気にしていなかったからかもしれないけど」とすっとぼけ、相棒のマレーについて「彼はいつも自分自身に大きなプレッシャーを掛けてプレーしているから、ブーイングされると乗るタイプの選手だと思う」と語った。

ウルブズで最も運動能力が高いアンソニー・エドワーズがマークに付くも、マレーは緩急でふりほどき、ヨキッチのスクリーンで引きはがし、オフェンスを組み立てていく。すさまじいブーイングの中で、彼は冷静にボールを動かしながら相手ディフェンスの位置と動きを確認し、得点効率の高いプレーを淡々と選択していった。

マレーが第1クォーターで8得点、第2クォーターで10得点でオフェンスを牽引し、ナゲッツは前半で56-41とリードを奪う。これは危なげない戦いぶりだったために注目されなかったが、レイカーズとのファーストラウンドでも出ていた前半の出足の悪さを克服するパフォーマンスだった。第3クォーターにはマレーがプレーメークに回り、ヨキッチの13得点、アーロン・ゴードンの11得点でさらにリードを広げる。最初の2試合の鬱憤を晴らすような完璧な試合で、ナゲッツが最終スコア117-90の完勝を収めた。

マレーは24得点5アシスト。特筆すべきスタッツではないが、ヨキッチが24得点14リバウンド9アシスト、マイケル・ポーターJr.が21得点、ゴードンが13得点、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープが12得点と、先発全員が2桁得点とバランスの良いオフェンスを遂行した。そしてウルブズの3ポイントシュート成功率を30.3%に封じ、リバウンドで40-32と上回った。攻守ともに『本来のナゲッツ』が戻って来たと言える。

マレーは言う。「今日勝てて良かったし、勝ち方も素晴らしかった。今日は正しいエネルギーを出せたと思う。ミスがあっても集中が途切れることなく、みんな一緒に戦った。ベンチにいる選手もみんなアドバイスの声を出し、僕らはそれに耳を傾けた。でも、まだやるべきことはある。次の試合でもこのエネルギーで臨まなければいけない。そして、もっともっと良いプレーをするんだ」

若いチームだったはずのナゲッツは、様々な経験を積み、王者にもなった。「こういう窮地は何度か経験している」とマレーは言う。今のナゲッツはもともと1勝3敗の劣勢を覆すことで勝負強さを身に着けてきた。「正しいマインドセットを持ち、正しいエネルギーを持ってコートに立つことがすべてだ。今日は早い時間帯に勝利を決めることができた。今後もそうするつもりで戦っていくよ」