ライアン・ロシター

宇都宮とのハイレベルなロースコアゲームを制す

B1第34節、宇都宮ブレックスvsアルバルク東京の第2戦が日環アリーナ栃木にて開催された。第1戦を接戦の末に落としたA東京だったが、この日は持ち前のディフェンス力を発揮して、70-61で勝利した。

序盤こそ宇都宮のインサイドアタックに手を焼き、先行を許したA東京だったが、ハンドオフから展開を作り、得意のセカンドチャンスポイントで得点し逆襲を開始。欠場したセバスチャン・サイズに代わり平岩玄がハッスルしチームを盛り上げると、前日52.9%と高確率だった宇都宮の3ポイントシュートをこのクォーターでは7本すべて落とさせる強固なディフェンスも見せて、18-0の怒涛のランでリードを奪い返した。

第1クォーターでは効果的だったゾーンディフェンスを継続するA東京だったが、宇都宮にシンプルなキックアウトから、この日最初の3ポイントシュートを遠藤祐亮に許すと、D.J・ニュービルにも長距離砲を射抜かれる。タイムアウトを取得し立て直しを図ったものの、直後にニュービルにファストブレイクからのバスケット・カウントを決められてしまう。アルトゥーラス・グダイティスの連続得点でどうにかリードを維持し、35-34と均衡した状態で後半に突入する。

レオナルド・メインデルの3ポイントシュートと小酒部泰暉のドライブからのレイアップで後半のスタートダッシュに成功したA東京はその後もインサイドでの得点を重ねて9点までリードを広げる。しかし、ディフェンス強度を高めた宇都宮に対して、ボールムーブが停滞し、攻め手がはっきりしないオフェンスが続いたことで3点差まで詰められて最終クォーターを迎えた。

試合を通じてマッチアップゾーンを徹底していたA東京だったが、宇都宮にうまくズレを作られ遠藤の3ポイントシュートを許し同点に追いつかれてしまう。しかし、ショットクロックギリギリで安藤周人が3ポイントシュートを成功させると、次のポゼッションでも安藤が3ポイントシュートを射抜き、リードを死守。ここから互いのディフェンスが機能して、オフィシャルタイムアウトを挟み、約3分間に渡り得点が止まる膠着した展開へ。その後、竹内公輔やニュービルの3ポイントシュートで追い上げムードが高まった宇都宮に対し、最後まで要所でのシュートを落とさない勝負強さを見せたA東京がロースコアゲームを制した。

ライアン・ロシター

アドマイティスHC「ロシターは、すべてをチームのために注いでプレーしてくれた」

試合後、コート上で「This is the way to play basketball.(これこそが我々のバスケットボールの戦い方だ)」と叫び、喜びを爆発させたデイニアス・アドマイティスヘッドコーチは自分たちのスタイルを貫き勝利したチームを称賛した。「選手たちは集中力を切らさずにフィジカルに戦ってくれました。特に前半は苦しい時間帯が長く続きましたが、状況判断を崩すことなく自分たちを信じてプレーしていました」

特に第1戦は宇都宮に3ポイントシュートを高確率で許してしまったが、この試合では25.0%に抑えた。アドマイティスヘッドコーチは「昨日はオープンなシュートを打たれてしまいましたが、今日はしっかりとコンテストして簡単に打たせないことができました。試投数をいかに抑えられるかが課題だったので、苦しいシュートに持っていくことが今日はできました」と分析する。

苦しい時間帯でもコート上でのコミュニケーションを怠らずにチームを牽引していたのがライアン・ロシターだった。アドマイティスヘッドコーチも彼に対する信頼は厚い。「すべてをチームのために注いでプレーしてくれました。昨日は40分出場したので、今日は少しでも休めるようにと考えていましたが、試合内容によってはコートに立っていなければいけない選手です。彼の状況判断はチームの要です」

そのロシターも同様に、試合のカギは宇都宮の3ポイントシュートだったと振り返る。「3ポイントシュートを確率よく決めさせてしまったのが昨日の敗因の一つでした。今日は簡単に打たせないことを意識して自分たちのペースで勝てたので、大きな1勝となりました」

マッチアップゾーンは機能していたが、戦術面でのアジャストよりも重要なことがあったとロシターは話を続ける「戦術に関しては、そこまで多くのことは変えませんでした。メンタルの部分が大きかったです。相手の3ポイントシュートを抑えていくメンタルを持って、ディフェンスすることから試合に入っていきました」

A東京は今シーズンここまで同一カードの連敗はなく、欠場する選手や調子が良くない選手がいても誰かがステップアップを見せてきた。実際、この試合でも平岩が今シーズン最長となる12分8秒の出場で攻守に渡って身体を張りサイズの穴を埋めると、序盤にファウルトラブルに陥った小酒部泰暉に代わり安藤がチームハイ(タイ)の16得点を決めた。ロシターも「チームとしての安定を実感できています。連続して悪いゲームをしてしまうことがなく、今日も昨日の敗戦からしっかり修正して遂行できたことはよかったです」と、チーム力の高さを実感している。

今節の結果で宇都宮とA東京がリーグの1位と2位となり、チャンピオンシップでの対戦の可能性は濃くなってきた。アドマイティスヘッドコーチは「チャンピオンシップで宇都宮と当たった時には今日の勝ちは非常に大きいです」と話すものの「レギュラーシーズンはまだ残っています。次の試合に向けて一つひとつ我々らしいスタイルでやり抜き通すことが大事だと思っています。先を考えすぎずに、目の前の試合に全力で取り組むことをしてきました」とあくまでレギュラーシーズンを戦い抜くことを念頭においている。

ロシターも残りのレギュラーシーズンでチーム力を高めることを強調し「自分たちらしくないプレーをしてしまう時間帯もあるので、残りのレギュラーシーズンの試合の中で改善できるようにしていきたい」と足並みを揃えている。

リーグ上位同士の天王山を1勝1敗で終えて、目の前で宇都宮に東地区優勝を決められることは阻止した。残り4試合で2ゲーム差と簡単ではない状況ではあるが、チャンピオンシップ進出順位1位を勝ち取るチャンスはまだ残されている。チャンピオンシップとその先にある年間チャンピオンに向けて、ロシターのチームファーストな姿勢とキャプテンシーがさらに発揮されることが期待される。

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