地区首位・三遠戦の勝利に積極的な攻めで貢献「アタックしてきっかけ作りを」
天皇杯ファイナルに伴う中断期間を経て、B1は今日からシーズンが再開する。昨シーズン、チーム初のチャンピオンシップでセミファイナル進出と大きな躍進を遂げた横浜ビー・コルセーズは、ここまで19勝23敗と2年連続のポストシーズンへ向けて苦境に立たされている。だが、まだ可能性は残っており、チームの誰もがあきらめていない。3月6日に行われた三遠ネオフェニックス戦で、中地区首位を独走する難敵に81-76と競り勝ったのは大きな自信となったはずだ。
三遠戦、横浜BCは序盤にリードを許したが、追い上げをけん引したのが司令塔の森井健太だった。森井といえば視野の広さと優れた戦術眼の持ち主で、テンポよくパスを散らすことで一緒にコートに立った選手の持ち味を引き出す術に長けている。
一方で、パスファーストのプレー選択が多く、その結果、ディフェンスからスペースを開けて守られる場面も少なくない。献身的な性格の森井は、そのような状況でも味方を生かすことを重視し、自らシュートを積極的に打っていくことは稀だった。相手ディフェンスにとっては、森井のゲームメイクは厄介でも、彼個人については怖さは少なかった。
しかし、この試合の森井は、13分13秒のプレータイムで3ポイントシュート5本中3本成功の9得点。また、惜しくも外れたが、ドライブからのレイアップを放つなど、彼個人として相手ディフェンスに重圧を与えていた。
この変化に関して、森井は河村勇輝不在で臨んだアジアカップ予選による2月下旬の代表ブレーク期間中の練習がきっかけだったと振り返る。
「自分の出ている時間は、ディフェンスの強度が高いメンバーが集まっています。ただ、オフェンスでは起点ができない時間もあるので、そこで自分がアタックしてきっかけ作りをしてあげる。バイウィーク期間中、河村選手が代表活動でいない中でチーム練習をする上で、そこをひとつ意識していました」
森井はこうも言った。
「今日、(シーズン最多の)シュートアテンプト6本。レイアップを1本外してしまいましたが、ああやってアタックし、キックアウトからの3ポイントシュートも増やしていければ(河村と同時起用の)2ガードのメリットも大きいです。また、司令塔が自分だけの時間帯も相手に脅威を与えられると思います」
大逆転でのCSへ「全員が同じベクトルを向いていければチャンスがあると信じています」
ちなみに、ピック&ロールでマッチアップした相手にアンダー(スクリーナーの後ろ)で守られることに対して、森井は「オフボールプレーをコールすると、ほぼプレッシャーがない状態でパスが出せるのであんまり苦ではないです」と気にしていない。そして、積極性を出すことの大切さを理解しつつも、改めて周りを生かすことへのプライドを見せる。
「ファーストピックで自分が打つのではなく、みんなにボールタッチをさせる。例えばシューターや(ジュロード)ユトフ選手はシュートを打ってナンボの選手です。第4クォーターでシュートの当たりが来るように、僕が出ている時間帯でしっかりシュートを打たせることは意識しています。その上で、オフェンスで困った時に自分が決められるようになれば相手にとって脅威だと思います」
黒星先行のここまでの成績は、もちろん想定外であり「今シーズン、たしかに苦しい思いをたくさんしています」と森井は語るものの、だからといって順風満帆な航路を進めるとも思っていなかったという。さらに、今の困難を乗り越えることで、横浜BCは一つ上のステージに到達できると続ける。
「昨シーズンは本当に素晴らしい結果を残せました。ただ、何事もトントン拍子ではないかない。今シーズンが順調に行くなんて僕は思っていなかったです。この苦しい経験を乗り越えることができたらCS常連のチームになれる。今の苦しい経験を自分たちの力に変える良い機会です」
そして森井は、「全員が同じベクトルを向いていければチャンスがあると僕は信じています。その思いを僕は言葉、行動で示す責任があります」と、リーダーとしてコート内外でチームを引っ張っていく決意だ。
横浜BCが、ここからCSへの切符をつかむためには、森井が味方を生かしつつより積極的にアタックし、彼自身も意識する「相手の脅威に」なっていくことが必要だ。