竹内みや

ストリートのイベントでMVP獲得、あこがれのキング開との写真撮影に大興奮

世界と日本をバスケットボールでつなぐクリエイティブ集団『SpaceBall Mag』が主催する、全国各地の高校3年生男子によるストリートバスケイベント『Future Bound Classic』。今年は初の試みとして、U16女子プレーヤーによるエキシビションマッチを開催した。

そしてこの試合で、この日一番……主役である男子高校プレーヤーを差し置いて、観衆に大きな衝撃を与えたのではないかというパフォーマンスを見せた選手がいる。相模女子大学中学部3年の竹内みやだ。

竹内は1月のJr.ウインターカップで同校を準優勝に導いた、U15世代屈指の逸材。しかしその名や実績を知らずとも、そのプレーを見れば彼女がただものではないことは誰でも簡単にわかるだろう。瞳をキラキラと輝かせてコートに立つ。予測不能なムーブでディフェンスを切り裂き、ゴール下に入り込んでいく。ほとんどが「はじめまして」のメンバーの特徴を試合の中でつかみ、それに応じたパスを出す。圧巻だった。

バスケットボールスクール『Boogie’s Basketball』で竹内を指導したBANG LEE(SpaceBall Mag代表)は「こちらが言ったことをイメージして、プレーに落とし込む力が強い。クリエイティブにプレーできる選手」と評する。指導者に教え込まれたコンサバティブ(無難)なプレーに留まりがちな、女子選手のプロトタイプから大きくはみ出したそのパフォーマンスに、女子バスケの新しい時代を見たような気持ちになった。

試合に55-45で勝利した竹内は、エキシビジョンマッチのMVPを獲得した。ご褒美の1つは、ゲストのBリーガーたちとのフォトセッション。あこがれだというキング開とのそれに大喜びした竹内は、興奮さめらぬ赤い頬のままで取材に応じてくれた。

竹内みや

エキシビジョンマッチでも課題を見出す、目標とする河村勇輝と重なるマインド

「プレーを見たことがない人もいたので、試合前はチームプレーやコンビプレーがどうなるかなって思ったんですけど、相性が良かったのか、チームメートたちが良いところに合わせてくれたり、ドライブするスペースを開けてくれたりしてくれました。最高のチームでした」

イベントの感想を話す竹内の表情は笑顔。コートでプレーしている時も同じく笑顔だった。「なんであんなに楽しそうだったんですか?」と尋ねると、「こんなにいろいろな方が見に来てくれる舞台でプレーさせていただけることはあまりないので、すごく楽しくて、なんか『ワッ』て自然に楽しめていました」と答えた。

イベントを目一杯楽しんだと話す一方、竹内は「今回やらせてもらっていろんな課題が見つかりました」とも言った。「シュート率の悪さ、1対1のパターンの少なさ、状況判断の悪さが出た試合でした」。余暇の楽しい遊びととらえて何ら問題ないエキシビションマッチからも、ステップアップの糧を得ようとする心意気に驚かされた。

「スピードもIQもあって、身長も小さい中ですごい多彩なプレーができる。すごいなと思いながらいつも参考にさせていただいています」。竹内は参考にしている選手だという河村勇輝についてこのように話したが、どのようなプロセスからも貪欲に成長の種を拾い上げる河村のマインドと彼女のそれは、重なるところがたくさんあると感じた。

竹内は4月より桜花学園高校に進学する。言わずとしれた超名門校だが、気負いはない。相変わらずのキラキラした瞳で、ガッツポーズを繰り出しながら次のように話した。

「高校は上下関係とかがあまりない世界だと思ってるので、先輩たちに変に気を遣っちゃったりしないで、1年目から1年生とか関係なく自分らしいプレーをぶつけて、ベンチに入って頑張りたいと思います。高校での目標は日本一を獲ることです」

将来の目標は、日本代表として河村のように世界を驚かせるような選手になること。「言葉とか雰囲気とか全部違うところで戦ってみたい」と海外にも思いを馳せる15歳の未来は、その瞳と同じくらい輝いている。