佐藤友

『東山対決』のアイソレーション1対1で観客を沸かせる

2月25日、Space Ball magが主催するストリートバスケットボールイベント『Future Bound Classic(以下FBC)』が新宿住友ビル三角広場で開催された。

FBCは、卒業を間近に控えた高校3年生たちが都道府県対抗で優勝を目指すワンデートーナメント。毎年全国大会で活躍した選手たちが多く参加し、今年はウインターカップ覇者の福岡第一高校から山口瑛司、世戸陸翔、森田空翔、アピアパトリック眞が『TEAM FUKUOKA』として出場。ウインターカップ準優勝の福岡大学附属大濠高校から広瀬孝一と鈴木凰雅を加えたドリームチームで大会三連覇を目指したが、セミファイナルで惜しくも『TEAM TOKYO』に敗れた。

そのTOKYOをファイナルで破り、優勝を手にしたのは『TEAM KYOTO』。東山高校、洛南高校を始めとする6チームの選手からなる完全混合チームは、東山のキャプテンを務めた佐藤友を中心に、よく走り、よく守って優勝を飾った。

MVPを獲得した佐藤の存在感は、出場メンバーの中でも際立つものだった。東山では縁の下の力持ち的なロールプレーに徹することが多かった佐藤だが、この日はここぞとばかりにエースムーブを連発。1対1から貪欲に得点を狙い、東山で磨いたランニングプレーでも魅せた。

「他のメンバーは全国未経験。高校最後の思い出作りにしようと思って参加したんですが、みんな生き生きと楽しそうにやっていて嬉しかったです。自分がMVPを取れたのはチームームメートが信じてやらせてくれたから。感謝しかないです」。佐藤はFBCの感想を次のように振り返った。

高校最後のウインターカップは、準決勝で福岡第一に惜敗。同校のメンバーが多数いるFUKUOKAと対戦できなかったのは残念だったと話したが、ファイナルでは東山で共にキャプテンを務めた小泉広翔がいるTOKYOとの対戦が実現した。2人は試合前に打ち合わせを行い、試合開始直後からマッチアップ。佐藤はチーム屈指のディフェンス力を誇る小泉とのアイソレーション1対1で得点を決め、会場を沸かせた。

上記の『たくらみ』を含め、コート上で存分に自身を表現した佐藤だが、ストリートでプレーするのは実は今回が初めてだったという。「自分はストリートとは無縁のプレーヤーだと思っていたので、やってみたいと思ったことも全くなかったんです」と笑い、「最初はどうなるかなと思ったけど、普段経験できないことがたくさんできて本当に楽しかったです」と振り返った。

佐藤友

「チャンスがある限り挑戦し続けます」

佐藤は4月より、昨年度のインカレで準優勝に輝いた東海大に進学する。同大は来年度よりチーム初となるアフリカ出身の留学生、ムスタファ・ンバアイ(福岡第一)が加入。佐藤や赤間賢人(藤枝明誠)は彼とともに『シーガルス』の新たな時代を作る第一世代となる。

「大学4年間を経てBリーガーになることをまず1つの目標としていて、それに一番近づける環境だと思ったのが東海大でした。Bリーガーの輩出率も高いですし、OBの方々からも良い話を聞けると思いました。ムスタファはタフで負けず嫌いなすごく良い選手。一緒に切磋琢磨していきたいです」

高校の自由登校期間となった2月からは、すでに大学の活動に合流している。高校2〜3年次はチーム事情で、本来のポジションであるウイングでなくインサイド付近でのプレーを求められたが、東海大では再びアウトサイドを主としたオフェンスで力を発揮できそうだ。

佐藤は「制限していたアウトサイドのプレーを思いっきりやっていきたい」と語る一方で、「2年間でリバウンドや泥臭いプレーは強化されたと思うし、(左記のようなプレーを含めて)オールラウンドにプレーすることはもっと意識しなきゃいけないと思っています」とも話した。

「目標はBリーガーになることで、夢は日の丸を背負ってオリンピックに出ること。チャンスがある限り、身体が動く限り、自分はその夢をかなえるために挑戦し続けます」

大きな夢への次なるステップは、東海大が掲げる、関東学生選手権、新人戦、リーグ戦、インカレの『四冠』に貢献することから始まる。オールラウンダーとして、そしてスコアラーとして成長していくだろう佐藤の今後が楽しみだ。