大阪に快勝、水野HCは「自信が持てて、チームとして成長を遂げている」
2月11日、群馬クレインサンダーズvs大阪エヴェッサの第2戦が開催され、序盤から3ポイントシュート攻勢でリードを広げた群馬が89-80で勝利した。
群馬は序盤から大阪にハーフコートバスケでうまく展開を作られて失点を許したが、コー・フリッピンやマイケル・パーカーの3ポイントシュートで対抗。セカンドユニットになったところで、互いにハイペースとなる中、ディフェンス強度を上げターンオーバーを誘発した群馬が21-19とわずかにリードして第1クォーターを終える。
第2クォーター序盤、群馬は合田怜に3ポイントシュートを許した後、ターンオーバーを喫する嫌な立ち上がりに。しかし、ベン・ベンティルとトレイ・ジョーンズが連続して3ポイントシュートを成功させて、点差を5点に広げ大阪に前半2つ目のタイムアウトを取らせることに成功。ショーン・ロングのパワープレーでオフェンスを組み立ててくる大阪に苦戦するも、このクォーターで10本中8本の3ポイントシュートで成功させた群馬が52-40と点差を広げて、ハーフタイムへ。
後半に入っても、フリッピンの3ポイントシュートを皮切りに、テンポよくオフェンスを組み立てた群馬が着実に得点を積み上げてリードを広げていく。ロングのポストアップからオフェンスを組み立てたい大阪に対して、ドライブコースやパスコースを潰してターンオーバーを誘発することに成功し、このクォーターも高いフィールドゴール成功率を保ったことでリードを21点に広げた。その後、1桁点差まで詰め寄られる場面もあったが、この大量リードを守り切りB1でのチーム記録である6連勝を飾った。
群馬は直近10試合を9勝1敗とし、シーズン成績も21勝18敗とワイルドカード争いができるところまでやってきた。水野宏太ヘッドコーチは現在のチーム状況をこう評価する。「勝ち星が付いてきて、チームも自信が持てています。接戦もしっかり戦えるようになり、我慢もできてチームとして成長を遂げていると思っています」
「自分の役割を見つけて、自分ができることをしないといけない」
この試合は前半に19本中12本の3ポイントシュートを成功させて、21点の大量リードを奪ったことが勝利の一因となった。シーズン前半戦は3ポイントシュート成功率が30%を下回る試合も多かったが、年明け以後、多くの試合で40%を超える高確率で成功させている。フリッピンは試合開始直後に3ポイントシュートを成功させると、第1クォーターのみで3本成功させて序盤のリズムを作った。
また強度の高いディフェンスや、トランジションを牽引するなど、チームの中心として活躍しているフリッピンだが、年明け以降はポイントガードとして先発起用している。水野ヘッドコーチはその意図をこう明かす。「一番の目的はディフェンスの強度を上げることでした。高い位置からマッチアップする選手に嫌がらせをできるので、そこのトーンセットをしたいというのが始まりでした」
さらに「これまでは自分1人でオフェンスを完結することが多かったのですが、京都ハンナリーズ戦あたりから、ボールを散らすことや他のチームメートを見つけるようになってきました。相手に的を絞らせない状況を作れている時は流れが良いです。そういう時間が徐々に長くなってきたのが、彼がオフェンスでもポイントガードとして良い循環を持ってきてくれているところです」と続ける。この試合こそ1アシストに留まったが、実際にフリッピンは年明け以降10本近いアシストを記録する試合も多く、ポイントガードして着実な成長を遂げている。
1人でポイントガードを任される時間帯もあれば、並里成と併用されて2番起用の時間帯もある。チームから多くの役割を任されることに関してフリッピンは「自分の起用法については、結果的にチームの勝利に繋がっているのでいいと思います。タレントの多いチームなので、自分の役割を見つけて、自分ができることをしないといけません」と話し、チームファーストな姿勢を見せる。
ポイントガードとして成長を感じさせるのはスタッツだけではない。この日も記者会見でヘッドコーチに絡むユーモアと愛くるしさを見せる反面、コート上では厳しい目つきでチームメートを鼓舞する姿が印象的だった。これについても「シューターであればスコアできるように、ディフェンダーだったらしっかり守れるように、みんなを適材適所に配置できればと思い、声をかけています」と語り、自身の個人スキルを頼りに勝負するスタイルからの脱却を感じさせた。
フリッピンは千葉ジェッツと琉球ゴールデンキングスの2チームでチャンピオンを経験している稀有な存在として、そして優勝請負人としての期待も大きい。チームは直近の躍進により、ぼんやりと見えていたチャンピオンシップ出場が、くっきりとしてきた。残り約1/3を残したシーズンの目標をフリッピンに聞くと「自分の中での目標はチャンピオンシップに出場しチャンピオンになることに変わりはありません。一つひとつの試合に臨んでいきます」と力強い答えが返ってきた。
今シーズンも大型補強を行い優勝候補と目されたが、シーズン序盤はケガ人が多く、望んでいた結果とはならなかった。しかし、戦力も揃い、元々高い個々の能力がより良いパフォーマンスとして発揮できる状態になってきた。残り21試合、群馬のさらなる躍進を期待せずにはいられない。