「足がないセンターに対して前からディフェンスで当たり、チームに勢いを与えたい」

現地2月8日から始まる『FIBA女子パリ五輪最終予選(WOQT)』の登録メンバー12名がいよいよ発表された。髙田真希、赤穂ひまわり、馬瓜ステファニー、山本麻衣ら中心選手たちが順当に選ばれる中、初の選出となったのが野口さくらだ。

U17ワールドカップ、U19ワールドカップと、アンダー世代の大舞台を経験してきた野口は、恩塚亨ヘッドコーチ体制になってからフル代表の強化合宿に何度も招集されてきたが、常にあと一歩のところでメンバー入りを逃し続けていた。しかし、今まで以上に平面での激しいプレッシャーと走力を強調する今回の代表において、持ち前の機動力とトランジションでの得点能力などを評価され、ついに12名の大会メンバー入りを勝ち取った。

WOQTの開催地ハンガリーへの出国前、1月下旬の公開練習で話を聞いた時、野口は「正直、今回に関してはWリーグでのプレーもそんなに良くなかったので、呼ばれるとは思っていなかったです」と驚きがあったと語ったが、すぐに自分の求められていることを理解し、迷いなくプレーできていると続けた。「合宿の最初、恩塚さんに『足がないセンターに対して前からディフェンスで当たってチームに勢いを与えてほしい』と言われました。自分のやりたいことと一致するのは良かったなと思います」

その結果、これまでの合宿にはなかった好感触を得ていた。「前は『どうしたらいいんだろう?』、『これで合っているのかな?』と思う部分が多くて、一歩遅れたりすることが多かったです。今回は前回、呼んでいただいた時よりもチーム戦術を理解できるようになっていて、迷いなくプレーできる部分が増えたかなと。手応えは前よりもあると思います」

今回、念願の最終メンバー入りとなった野口だが、あと一歩での落選が続くのはメンタル面でとても辛いことだった。メンバーを応援する気持ちはもちろんあったものの「代表の試合はところどころ見ていましたが、悔しい気持ちだったり、試合を見ることで『あぁ…』となってしまう部分はありました」と、率直な思いを明かす。

だが、それでも代表への強い思いは変わることはなかった。そして今回の合宿には「落ちたら落ちたで腹をくくれるくらいには出しきれていますし、やりきれている部分はあります」と、強い覚悟を持って参加していた。

最後に、WOQTのメンバーに選出された暁には、野口は次のようなプレーを見せたいと語っていた。「自分の良いところは足を生かしたプレーなので、ディフェンスで前からプレッシャーをかけて相手が嫌がるプレーをする。あとは誰よりもコートを駆け回るくらいに走りきるのが求められていることだと思います。若いからこそ出せるエネルギーをしっかりと出して、みんなに伝えられたらと思います」

野口がこの発言通りのプレーを披露できたら、日本代表にとって流れを変える起爆剤になれる。WOQTの大舞台でも臆することなく、あと一歩での落選が続いた悔しさを晴らすプレーを期待したい。