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キングス低迷の責任を問われるべきは、ヘッドコーチか悪童エースか。

キングスのデマーカス・カズンズの周辺は、相変わらず騒がしい。真実性の有無は別として、トレードの噂が絶えないのだ。

5月10日、キングスはグリズリーズのヘッドコーチを退任したデビッド・イェーガーの新ヘッドコーチ就任を発表。就任会見では、「カズンズと良好な関係を築けるか」という質問が記者から出た。ここにキングスが抱える最大の問題が凝縮されている。

2012年以降、キングスは毎シーズン指揮官を変えてきた。成績不振も解任理由だが、それ以上の原因となったのは、カズンズとの衝突だった。

25歳のカズンズは将来を有望されている選手だが、その才能と同じぐらい、気性の激しさも有名だ。決して悪い男ではないが、真っ直ぐで不器用で短気。だから、勝利を求める気持ちの強さ、ハートの熱さがしばしば暴走してしまう。問題は、年齢を重ねても丸くなる気配がなく、いつまでも「未完の大器」であり続けていることだろう。

キングスはこのエースを懐柔できる指導者を探してきたものの、ことごとく失敗。カーメロ・アンソニーをオールスターに育てた名伯楽のジョージ・カールでさえ、カズンズから尊敬を勝ち取れなかった。

そこでフロントは、グリズリーズを西カンファレンスの上位に成長させたイェーガーに白羽の矢を立て、再建を託すことにした。先述した就任会見での一コマの通り、キングスでは、カズンズと良好な関係を築けるかどうかが最大の障壁になりかねない。

ただ、ここに一つの疑問がある。チームを追われるべきは、悪童カズンズをコントロールできない指揮官ではなく、カズンズ自身ではないか、ということだ。モンスター級の才能を持っていても、その悪童ぶりがチームの足を引っ張り、結果的にキングスの不振を長引かせているのではないか……。

冒頭に挙げたトレードの噂に戻る。キングスのバスケットボール部門で副会長を務めるブラデ・ディバッツが、「カズンズはトレードに出さない。年内は間違いなく放出しない」と明言している。「年内は」という言葉の意味は、おそらくカズンズが2018年のオフにフリーエージェントとなることを踏まえてだろう。

受け取り方次第ではあるが、2016-17シーズンから新ホームアリーナでの新時代を迎えるキングスが、新たな方向に舵を切るかどうかの猶予期間を指して、「年内」と言ったとも聞こえなくはない。

10年連続プレーオフ進出を逃している古豪が次に取る行動は、またしてもヘッドコーチ解任なのか、それとも選手の刷新なのか。まずはイェーガーのお手並み拝見、といったところだ。