「フィジカル面では素晴らしい状態だ。ただ、メンタル面については少し違うね」

ウォリアーズは現地5日に行われたネッツ戦に109-98で勝利。ここ4試合目で3勝としており、なんとか浮上のきっかけをつかみたいところだ。1月中旬から20得点以上をコンスタントに挙げているジョナサン・クミンガ、2試合連続で2桁得点、2桁リバウンドのブランディン・ポジェムスキーなど若手の台頭は明るい材料だが、一方でクレイ・トンプソンの調子がなかなか上がってこないのは大きな不安材料だ。

この試合もトンプソンは、第4クォーター終盤の勝負どころをベンチで座って過ごし、フィールドゴール9本中4本成功の8得点に留まった。また、トンプソンが大事な試合終盤で起用されないのは、ここ3試合で2試合目。絶対的な存在だったチーム内の序列が下がっていることに対し、トンプソンは「正直に言うと、とてもハードだ」と明かす。

度重なる故障により2019-20シーズン、20-21シーズンを全休したトンプソンは、翌21-22シーズンの途中に復活。昨シーズンは69試合出場、今シーズンは45試合出場とコンディション面は問題ない。だが、今シーズンはここまで平均17.1得点、キャリアワーストの3ポイントシュート成功率37.1%と、トンプソンにしては低調なスタッツだ。

シューティングが不調だと、彼よりも身体能力、フィジカルに長けたクミンガ、ポジェムスキー、モーゼス・ムーディらに出番を奪われるのは致し方ないとも言える。現状についてトンプソンは「フィジカル面では素晴らしい状態だ。ただ、メンタル面については少し違うね。でもそれが人生というものだよ」と語る。

キャリアで最も苦しい状況かもしれないトンプソンだが、チームファーストの姿勢は変えない。「今の役割を受け入れる。怒ることもできるけど、正直にいうと若手の活躍はハッピーだ。僕たちは勝利した。このリーグで試合に勝つのは大変なことだよ」

世代交代の過渡期に入っているウォリアーズにとって、今シーズン終了後にフリーエージェントとなるトンプソンの役割を徐々に減らしていくのは、チームの将来を考えれば妥当な選択とも言える。だが、ステフィン・カリーとのスプラッシュブラザーズで、4度のNBA制覇をもたらした功労者への対応として適切なものか。「プロは過酷な生存競争だから仕方ない」と簡単に割り切れないファンは少なくないだろう。

スティーブ・カーヘッドコーチは、「彼は大丈夫だ」とトンプソンについて語るが、歯切れは良くない。「今シーズンの彼は浮き沈みが激しい。長らく活躍を続け、殿堂入りをするような選手であっても故障に対処するのは簡単ではない。誰にとっても年齢を重ねることへの対応は難しい。彼はメンタル面でタフだ」

果たしてトンプソンはこのままロールプレーヤーへと役割を変えていくのか、それともシュート確率を上げ中心選手の座に復活するのか。今オフの契約交渉にも直結し、これからのキャリア晩年に大きな影響を与える正念場を迎えている。