キヤンテ・ジョージ

同じポイントガードのクリス・ダンが『師匠』に

昨年のNBAドラフトで1巡目16位指名を受けてジャズに加わったキヤンテ・ジョージは、上々のルーキーシーズンを過ごしている。ここまで46試合中40試合に出場して、10.7得点、4.4アシストを記録。ディフェンスで集中できていない時に緩いプレーが出る課題はあるものの、スピードと得点能力はNBAでも十分に通用している。クリス・ダン、コリン・セクストン、ジョーダン・クラークソン、テイレン・ホートン・タッカーと経験豊富な選手が揃うジャズのガード陣において、しっかりと居場所を確保した。

ジャズの一員となったジョージはサマーリーグから得点でもアシストでも大活躍。開幕からしばらくするとスタメンに抜擢された。12月に入って足を痛めて2週間の戦線離脱を経験し、その間にダンとセクストンの先発ガードコンビが機能したため、復帰後から現在までポイントガードの2番手を務めているが、正統派ポイントガードのダンが先発し、身体能力が高く得点できるジョージがベンチから出てくる今の起用法はジャズの武器になっている。

開幕時点で彼は2つの目標を掲げている。一つはルーキー・オブ・ザ・イヤーであり、もう一つは「日々成長すること」だ。シーズン始動の際に彼はこう語っている。「僕にとって82試合のシーズンは初めての経験だから、小さなステップを踏み続けたい。ベストな自分になるために学び、このチームにとって自分にできる最大限の貢献をしたい。僕はまだ何も成し遂げていないから、周囲の信頼は結果ではなくバスケに打ち込む姿勢で獲得していくつもりだ。いつかは信頼を得てチームを引っ張りたいけど、今はチームのことを学びながら、アンセルフィッシュにプレーして、自分にできる貢献をしたい」

ここまで彼は自分の言葉を実践している。先発の座を失ったことを挫折ではなくチャンスととらえ、ケガをした時には足の治療と並行して、シーズン序盤で出た課題を克服するための身体強化に努めた。

シーズンの折り返し地点を迎えた今、彼は少しずつ自信を深めながらも、開幕時点と変わらぬメンタリティで日々を過ごしている。一番大きな変化は身体のケアへの意識で、クリス・ダンが『師匠』になっているとジョージは言う。「彼がコンディションを管理するために何をしているのか、すべて見て、同じことを試すようにしている。それはつまり『プロフェッショナルとは何か』を学んでいるんだと思う」

ダンは2016年の1巡目5位指名でNBA入りしたが、ケガや得点力不足、プレースタイルへの理解のなさに長らく苦労してきた選手。様々なチームを渡り歩いた後、契約を得られずGリーグでのプレーを余儀なくされていた昨シーズン途中、マイク・コンリーを放出するトレードでやって来たラッセル・ウェストブルックとの契約を解除したジャズに10日間契約で加わると、そのチャンスを生かして今ではスタメンで活躍するようになっている。

ジョージはダンがNBAの7シーズンで経験した苦労をリスペクトし、自分の学びにしようとしている。「プレーする機会がなかった時期にも、彼は様々な経験をしてきた。Gリーグでも同じだ。僕は彼と会話する中で、その経験と知識を学ばせてもらっている」

ジャズは再建をスタートさせたばかりで、目先の勝利にこだわる必要はない。だからと言って、意識の低い選手がいたのではチームの足を引っ張るし、逆にルーキーであっても学ぶ姿勢を示すことでチームの士気を高められる。ジョージは周囲に良い影響を与えつつ、充実した学びのシーズンを過ごしている。