モンティ・ウイリアムズ

個性とポテンシャルを生かした戦い方にシフトできるか

ピストンズは5連敗中と調子を落としているネッツと対戦し、攻守にわたって細かいミスを繰り返して115-126で敗れ、NBAの単一シーズンでの連敗記録である26に並びました。再建チームに必要なことは勝利以上に内容の改善ですが、内容が改善しないからこそ連敗を止められない状況に陥っており、出口が見えない戦いが続いています。

アサー・トンプソンのダンクで始まった試合は、ケイド・カニングハムのジャンプシュートも決まったピストンズが、開始6分で15-13とリードします。しかし、カニングハムとジェイデン・アイビーの両ガードをベンチに下げると起点役不在で得点が止まり、第1クォーター終了時点で21-32と2桁の点差を付けられ、そのまま試合終了まで一度も逆転は起こりませんでした。

試合を通してカニングハムは22得点6アシスト、アイビーは23得点7アシストとオフェンスの起点になれる2人を同時にベンチに下げたことでチームとして停滞した時間帯を作った以外にも、シューターのジョー・ハリスを起用しながら誰もスクリーンに行かせず、3ポイントシュートのアテンプトすらなかったりと、選手起用とコートで起きている現象のチグハグさが目立ちました。

勝てないチームだと選手が好き勝手にプレーして規律がないことが多いですが、ピストンズの場合はチームプレーをしっかりやろうとしすぎて個性が発揮できていないことが多発しています。特に、コート中央でオフボールスクリーンをスタートにしたプレーを好んで使うものの、これが全く機能しておらず、しかも同じような形を繰り返すためネッツディフェンスに展開を読まれ、10ものスティールを許しました。逆に点差が開いてからは、カニングハムが広く展開してのドライブやアイビーのスピードを活用したシンプルな突破が効果的に決まっており、個人の武器をチーム戦術に取り込めてない印象が残りました。

ディフェンスでも個々のマッチアップでの意識は高く、ハードにプレッシャーをかけていきましたが、やりすぎることが多く、25個のファウルから32本のフリースローを与えています。特にスローイン時にインバウンズされる前のファウルでフリースローを与えてしまうなど、頑張りどころを間違えてしまっています。追い上げて逆転のチャンスが訪れても、もうひと踏ん張りする気持ちがファウルに繋がることを繰り返して突き放されるという展開では、勝利は遠のいてしまいます。

ピストンズはカニングハムやアイビーを中心にポテンシャルのある若手がいるものの、そのポテンシャルを不安定と見なし、チーム戦術で爆発力を自ら封印してしまい、低レベルのパフォーマンスで安定してしまっています。フィールドゴール成功率が40%を下回った試合はスパーズは5試合、ブレイザーズは5試合、首位のセルティックスでも2試合ありますが、ピストンズは1試合もありません。連敗脱出のためには選手の個性とポテンシャルを生かした戦い方にシフトする必要がありそうです。