逆転を許すも、終盤の攻防を制した千葉
リーグ最高勝率の千葉ジェッツが、東地区2位の栃木ブレックスのホームへと乗り込んだ『頂上決戦』の第1戦。前半で得た14点のリードを守り切れず、終盤に一度は逆転されるも、インサイドの攻防を制して68-65で勝利した。
ライアン・ロシターのオフェンスリバウンドから鵤誠司の3ポイントシュートで先制した栃木だったが、その後は遠藤祐亮のレイアップがリングに嫌われるなど、フィニッシュが決まらず得点が伸びない。対する千葉は、ギャビン・エドワーズがロシターやジェフ・ギブスとのマッチアップを制し7得点を挙げると、オフェンスが停滞した際に富樫勇樹が1on1からタフショットを高確率で決めて10得点を荒稼ぎし、21-14とリードを奪う。
第2クォーターに入ると、さらに千葉のディフェンスが光る。特にこのところ好調の原修太がフィジカルかつ軽やかなフットワークでマッチアップする比江島慎や遠藤をシャットアウトし、このクォーターをわずか8失点に封じた。オフェンスでは西村文男が落ち着いたゲームメークを見せ、エドワーズがこのクォーターでも7得点を挙げ、オフェンスリバウンドでも上回った千葉が14点をリードして前半を終えた。
だが、千葉の大野篤史ヘッドコーチが「スタートは栃木さんの強みのところをしっかり消して、良いディフェンスができたんですけど、第3クォーターのところで、栃木さんの強みが顕著に出てしまった」と振り返ったように、ここから栃木の逆襲を受ける。
第2クォーターで3つ目のファウルを犯したエドワーズがベンチに下がったこの時間帯に、栃木がインサイドで上回る。ギブスのオフェンスリバウンドから渡邉裕規の3ポイントシュート、鵤がマイケル・パーカーとのボールの奪い合いを制し、ロシターの速攻に繋げるなど、栃木の強みが存分に出た。オフェンスリバウンドで上回り、セカンドチャンスポイントを重ねた栃木が29-16と圧倒し、1点差に迫って最終クォーターを迎えた。
リバウンドを制する者はゲームを制す
第3クォーターの勢いそのままに、竹内公輔がオフェンスリバウンドからゴール下をねじ込み逆転した栃木は、比江島が3ポイントシュートとトランジションからのミドルシュートを沈め、1分半で7-0と走った。
逆転を許した千葉はこのまま崩れてもおかしくなかったが、タイムアウトを要請してディフェンスを修正すると、小野龍猛と原の連続3ポイントシュートで1点差に詰め寄り、エドワーズのフリースローで同点に追い付いた。
その後は、リードチェンジを繰り返す一進一退の攻防となるが、残り3分22秒にギブスが4つ目のファウルをコールされ、チームファウルも5に到達したことで千葉が優位に立つ。
パーカーがそのファウルで得たフリースローを1本沈め、直後のオフェンスでも強引にリングにアタックしてリードを3点に広げた。渡邉にオフェンスリバウンドからゴール下を決められるも、残り21秒にアキ・チェンバースがオフェンスリバウンドからゴール下を決め返す。
その後、栃木は同点を狙った渡邉の3ポイントシュートが外れ万事休す。こぼれ球を拾ったギブスが一縷の望みをかけてボールを投げるもリングに当たらず、千葉が逃げ切った。
「ジャブが積もれば僕たちは倒されてしまう」
勝利した大野ヘッドコーチは「第3クォーターにセカンドチャンスポイントだけで8点、オフェンスリバウンドが5本、ターンオーバーから4点。その12点を栃木さんに与えた。ジャブが積もれば僕たちは倒されてしまうので、そのジャブを打たせないように、摘み取れるように」と、反撃を許した第3クォーターの反省を語る。
それでも、「それをしっかり乗り切って勝ち切ったことは評価しています」と、逆転勝利を素直に喜ぶとともに、「たった一つのクォーターのオフェンスリバウンドだけでも圧倒されるので、40分間集中して栃木さんに向かっていかなきゃいけないと反省して、また明日頑張りたい」と、勝負を分けたオフェンスリバウンドについて言及しつつ、第2戦を見据えた。
敗れた栃木の安齋竜三ヘッドコーチは、「後半はある程度アグレッシブに行って勝つチャンスがあるところまでは行った」と、14点のビハインドを覆したことについては一定の評価を与えた。だが「自分たちの流れになった時に流れを手放してしまった。毎回同じことの繰り返しなので、ちょっと危機感を持ってやっていかないと」と語り、「千葉さんの強さを感じた試合でした」と負けを認めた。
頂上決戦を制した千葉は、球団記録を塗り替える14連勝を達成。さらに栃木とのゲーム差を3に広げた。地区優勝、そしてチャンピオンシップの第1シードを考える上でも、大きな勝利となった。