3ポイントシュートの成功率向上のための課題

千葉ジェッツは第15節を終了した時点で21勝4敗と東地区首位を走っている。富樫勇樹、原修太、渡邊雄太、ジョン・ムーニー、ディージェイ・ホグのラインナップは強力で、そこにシックスマンとしてナシール・リトルが加わるなど豊富なラインナップが展開できる。選手層の厚さは加入当初から承知の上で、18歳だったルーキーの瀬川琉久は、その高い壁に挑んだ。

昨シーズンの1月から加入した瀬川は、先発に抜擢された4月以降に平均21.26分の出場時間で7.2得点、2.2アシストを記録。18歳ながらB1のトップレベルで堂々と戦い抜き、最も印象的だった選手に贈られる最優秀インプレッシブ選手にも輝いた。

今シーズンは富樫から先発の座を奪うことを目標にここまで戦ってきたが、未だ先発出場は果たせていない。自身の中にも目標と現実の差にギャップを感じており「焦りがありました」と語った。その目標の一つに3ポイントシュートの成功確率向上が挙げられる。高校最後のウインターカップでは準々決勝の藤枝明誠戦で40点を叩き出し、平均24.8得点を記録してスコアリング能力の高さは証明して見せたが、3ポイントシュート成功率は大会を通じて22.5%と外角に課題があった。この数値はこの大会に限った話ではなく、優勝を果たしたインターハイでも25.8%と通年を通して改善の余地があることは明らかだった。

Bリーグに舞台を移しても、昨シーズンは32.1%、今シーズンも第15節を終了した時点で16.0%と課題解決という状況ではなかった。瀬川はこの状況に手をこまねいていたわけではなく、稲垣敦アシスタントコーチとともにシュートフォームの改善から進めていた。そして第16節の京都ハンナリーズ戦で、その成果が現れ始めた。ゲーム1で2本目の3ポイントシュートが成功をすると「あ、これが自分のリズムなのだ」と実感したのだと言う。その感覚はゲーム2でもしっかりとつかみ、5本中3本を決めることに成功、外角が生きたことによってオフェンスのバリエーションが増え21得点の活躍を見せた。

「ハマった感覚もありましたし、練習では確率も悪くなくシュートが入るのですが、やっぱり試合になると、躊躇していつも打っているシュートフォームで打てないという感じがありました。『気持ちの問題だ』ということはずっと分かっていたので、その気持ちの部分というピースがハマったと思うので、これを続けれるように今後はやっていきたいと思います」

本人も「気持ちの問題」と語ったように躊躇をすればリズムが崩れてしまう。だからこそ今後は頭と身体のシンクロ率を上げていく必要があると言う。「この1年でバスケットIQが向上して、考え方や知識量が増えました。その知識が入った分、迷ってしまったり正しい選択ができていないので、知識が増えた分、今後は判断をしっかりと行っていきたいと思います」

ゲーム2のパフォーマンスの通り、外角のシュートが向上すればディフェンスにとって守る選択肢が増えてくる。ピック&ロールプレーの一つを取ってもディフェンスの守り方は変わり、そこからのキックアウトやプルアップシュートなど向上したバスケットIQとともに、溢れ出るイマジネーションを最大限有効活用できるようになるだろう。

瀬川は「今日吹っ切れた感じもあるので年内の3試合は、これ以上のパフォーマンスをできたら良いと思います」と手応えを感じている。世代屈指のポイントガードから富樫を凌駕して千葉Jのメインポイントガード、そして世界に通用するポイントガードへと進む道は、まだまだ歩み始めたばかりである。