西田優大

「最後にチームが同じ方向でまとまって戦えたことが勝因だと思います」

シーホース三河は11月4️日、アウェーで千葉ジェッツと対戦。ビッグマンのファウルトラブルに苦しみ第3クォーター終了時で2️桁のリードを許す劣勢となったが、西田優大を起点とした猛攻で盛り返し、88-83で見事な逆転勝利を収めた。

三河は立ち上がりで富樫勇樹に連続で3ポイントシュートを許し、トランジションから速攻を食らうなど、5-15と出遅れてしまう。ここから守備のプレッシャーを高めて盛り返すが、ビッグマンのジェイク・レイマンが3ファウルでベンチに下がらざるをえないことで再び悪い流れとなり、37-47と劣勢で前半を終える。

第3クォーターに入ると、三河はレイマンが開始早々から連続8得点と、消化不良に終わった前半のうっぷんを晴らす爆発を見せ開始3分で2点差と肉薄する。だが、残り4分半にレイマン、3分半にダバンテ・ガードナーがそれぞれ4つ目のファウルと、再びファウルトラブルに陥る。この結果、ビッグマンはザック・オーガストの1人のみとなった三河は、サイズの大きな不利によってファウルが増える悪循環に陥ると、終盤に失点が増え再び10点のビハインドを背負った。

だが、第4クォーターに入ると、オーガストの力強いアタックにより、今度は千葉Jのゴール下の要であるジョン・ムーニーを残り8分で4ファウルにさせる。こうしてインサイドで主導権を握った三河はゴール下で確率良くシュートを決め、残り4分半で70-69と逆転に成功。ここから一進一退の息詰まる攻防が続くが、残り1分にイ・デソンが6点差に突き放す3ポイントシュートを射抜いて激闘に終止符を打った。

第4クォーターを36-21と圧倒し、見事な逆転劇を達成した三河だが、その立役者となったのが西田優大だった。32分51秒のプレータイムで15得点、4アシストを記録。また、劣勢を強いられた前半に要所で3ポイントシュートを決めて大崩れするのを防ぐと、第4クォーターはドライブで千葉Jを切り崩し、攻撃の起点として、チームで36点を挙げる原動力となった。

スタッツ以上の支配力を発揮した西田は、このように勝因を語る。「今日は第4クォーター途中まで我慢の展開が続きましたが、よく集中力を切らさずにディフェンスでついていけた印象です。最後、チームが同じ方向でまとまって戦えたことが勝因だと思います」

西田優大

リッチマンHC「三河のアイデンティを体現しているのが優大です」

Bリーグ創世記はリーグ上位の成績を残していた三河だが、過去2シーズン連続でチャンピオンシップ(CS)に出場できていない。また、最後にCSで勝利したのは2017-18シーズンと、上位に絡めないシーズンが続いた。この状況を受け、昨シーズン終了後に28年間に渡ってチームを率いていた鈴木貴美一前ヘッドコーチと袂を分かち、NBAウィザーズのアシスタントコーチを務めていたライアン・リッチマンを新指揮官に招聘するテコ入れを実施した。

リッチマンヘッドコーチの下、今シーズンの三河はここ数シーズンにはない豊富な運動量とプレー強度を備えた粘り強いディフェンスを披露し、それを継続できるチームへと変貌を遂げている最中だ。この進化には、西田もこのように手応えを語る。「苦しい展開であっても自分たちのことにフォーカスできています。ヘッドコーチからハードにプレーすること、タフに戦い続けることを言われています。それを全員が遂行し続けていることが結果にも出てきていると思います」

また、これまでの三河といえば、ここ一番でガードナーにボールを預ける傾向が目立っていた。しかし、スピードとボールムーブを強調する今のチームでは、西田が勝負どころで起点となっている。大きな責任を担うその覚悟を西田はこう語る。

「過去2シーズン、エースと言われながらも結果を出せずにいたので、今年はより強い覚悟を持って臨んでいます。少しずつ結果が出てきているのは自信をつけていいところだと思いますが、相手に流れを渡してしまうミスもあります。そういうところをもっと突き詰めて、誰が見てもエースと言われるようになっていきたいです」

名実ともに三河のエースとなっている西田だが、リッチマンヘッドコーチも「三河のアイデンティを体現しているのが優大です」と絶大な信頼を寄せる。「優大はハードワーカー、良い人物であり、攻守にわたって活躍できます。彼はスペシャルな選手であり、勝者です。まだ24歳で彼の成長にワクワクしています」

そして指揮官は、西田の可能性について「No Limit」と太鼓判を押す。名門復活の旗手として、これから西田がどんな進化を遂げていくのか見逃せない。