イメイ・ユドカ

「カルチャーを変え、環境を変え、説明責任を果たす」

ロケッツはジェームズ・ハーデンの時代が終わって再建に入ったが、この3シーズンは若手の成長こそ見られてもチームが向上する気配は全くないまま無為に時を過ごした。それでも今オフはフレッド・バンブリートにディロン・ブルックス、ジョック・ランデール、ジェフ・グリーン、アーロン・ホリデーと、移籍市場の目玉とは言わないまでも実績も実力も十分に備えたベテランを獲得。指揮官にはイメイ・ユドカを迎え、勝負のシーズンを迎える。

バンブリートとブルックスに好待遇を与えすぎとの意見もあるが、チームの成長に必要だと感じたからこそロケッツは勝負に出た。この2人には、若手中心のチームに勝利のカルチャーをもたらすことが期待される。

チームのカルチャーを変える意味では、ユドカにこそ大きな期待がかかる。セルティックスのヘッドコーチとして1年目にチームを躍進に導いたが、スキャンダルで失脚。ここで再出発を図る彼は、休養期間を良い準備にあてて、今回のチャンスに備えてきた。

ユドカは言う。「ベテラン選手の存在はとても重要だが、私はチーム内での成長こそが一番大事だと思っている。ここで厳しい時期を過ごしてきた選手たちが良い習慣を身に着けて成長すること。カルチャーを変え、環境を変え、それぞれ説明責任を果たす。そういう意味ではこれまでとは違うやり方を取り入れるつもりだ」

その改革はマインドセットを変え、習慣を変えることから始まる。「ベテランのチームでも若いチームでも、悪い習慣を断ち切ることが大事だ。セルティックスはカンファレンス優勝の成功を収めたが、それでもいくつかの習慣を変える必要があった。このチームはあの時のセルティックスに似ている。マインドセットを変え、習慣を変えるんだ。一夜にして変えるのは難しいが、サマーリーグから夏の練習を通じて取り組んできたし、これからも続けていく」

そしてオフに良かった点を、フリーエージェントでもなくドラフトでもなく、サマーリーグでの選手たちのひたむきな姿勢と成長だと語る。「その後の練習もずっと見てきたが、それは十分に期待できるものだ。選手たちの意欲は素晴らしい。みんなあちこちで成長し、チームとしても少しずつ向上していくだろう。我々のコーチングとベテラン選手の経験が、その助けになる」

『17、20、22』。ユドカが選手に見せるフィルムセッションには、この数字が挟み込まれる。再建を始めてから3年、各シーズンの勝利数だ。ポテンシャルがあってベストを尽くしはするが『敗者』以外の何者でもない時期はもう終わり。ロケッツはユドカのリーダーシップに引っ張られ、戦いの場へと足を踏み出す。