ケビン・デュラントは「誰か、この若者を助けてやってほしい」とSNSに投稿
NBAは他の追随を許さない世界一のバスケットボールリーグである。だからこそNBAのチャンピオンチームが『世界一のバスケットボールチーム』と名乗ることに異論を唱える人は、少なくともバスケットボール界にはいない。ただ、それはあくまでバスケ界でのみ通用する感覚なのかもしれない。
現在開催中の世界陸上に、アメリカ代表として出場しているノア・ライルズという短距離選手がいる。ライルズは男子100m、200m、4️x100mリレーの3種目で金メダルを獲得した世界最速のスプリンターだが、今はこの偉業以上に、次の発言によって注目を浴びている。
「NBAファイナルを見ると、優勝したチームはワールドチャンピオンと言われている。ただ、アメリカのリーグで、なんでワールドチャンピオンなんだろうね。誤解しないでほしいけど、僕はアメリカが大好きだ。ただ、NBAは世界ではなく、僕たちの戦っているところが世界だ。ほぼすべての国が、この大会で自分たちが国の代表を示すために国旗を掲げて戦っている。NBAでは国旗を掲げることもないよ」
今のNBAはひと昔前と違い、世界中からトップ選手が集結している。それはセルビアのニコラ・ヨキッチ、スロベニアのルカ・ドンチッチ、ギリシャのヤニス・アデトクンボなどアメリカ国外のスーパースターたちの存在を見れば明らかだ。ただ、それでもチームのメンバーの多くはアメリカ人選手であり、ラプターズを除きアメリカを拠点とするチームで構成されるリーグであるため、ライルズの主張がバスケ界の外側では妥当なのかもしれない。
とはいえ、NBA選手たちにとってライルズの発言は許容できないモノのようだ。サンズのケビン・デュラントは、自身のSNSで「誰か、この若者を助けてやってほしい」と投稿。その他にもヒートのバム・アデバヨ、トレイルブレイザーズのデイミアン・リラードなどがSNSで否定的な反応を示し、キングスのディアロン・フォックスは世界陸上という大舞台の最中にわざわざ軋轢を引き起こす発言そしたことに疑問を呈している。
「別に気にしないし、彼が間違っていると言うこともない。ただ、NBAが王者をワールドチャンピオンと呼んでいることを、彼が何故気にするのかは理解できない。個人的に言えば、これまで五輪に関心を持ったことはないけどね」
NBAと陸上競技と比べた場合、NBAの方が世界中により多くのファンを抱え、大きな影響力を持っている。だからこそ、ライルズの主張に反応しない方が本来なら得策だろう。それでも、スター選手たちがこの発言にすぐに反応したことで、自分たちが戦っている舞台に対する誇りを感じることができる。