渡邊雄太

長距離砲が不発「決めなければこういう展開になる」

バスケ男子日本代表はドイツ代表とのワールドカップ初戦に63-81で敗れた。

敗因は多々あるものの、生命線である3ポイントシュートが35本中わずか6本の成功(17%)に留まったことが最大の理由と言える。渡邊雄太
はチームハイの20得点に加え、6リバウンド2アシスト2ブロックと攻守に奮闘したが「前半に自分のシュートが決まっていればゲーム展開が変わっていたと思うので、チームに迷惑をかけた」と、己を責めた。

渡邊の3ポイントシュート成功率は20%(10本中2本の成功)と精彩を欠いた。特に第1クォーターは長距離砲を放つ積極性が目立ったが、それは自身が起点になることでズレが生まれることを理解していたから。指揮官のトム・ホーバスはドイツのビッグマンをゴールから遠ざけることでドライブのコースを作る意図があったことを明かしている。ただ、フィニッシュが決まらなければ、そのアクションは実を結ばない。だからこそ渡邊は「そこを決め切れなかったのは自分の責任。次は決め切るようにします」と前だけを向いた。

「3ポイントシュートを多く打ってそれを決める。それができればゲーム展開は変わっていたと思います。決めなければこういう展開になる。とてもシンプルなので、もうやるしかないです」

シュートが決まらない以上、ディフェンスで耐えるしかない。ただ、渡邊とともに日本のインサイドの要となるジョシュ・ホーキンソンがファウルトラブルに陥ったことで、すべてのゲームプランが崩れた。もちろん、ホーキンソンの代役を務めた川真田紘也は自分の役割を全うした。ただ、先述の通り、日本は4番と5番のアウトサイドシュートをファーストオプションにしており、川真田は決して外角シュートを得意としていない。オフェンスプランが狂ったことで、ディフェンスにもリズムが生まれなかった。

渡邊は言う。「個人で見た時にドイツが強いのは分かっていて、1対1では守り切れないです。チームディフェンスでやり切ろうとしても、どうしても相手の個の力が強かったら打開されてしまうので、一種のギャンブルディフェンスはやっていかなくてはいけません。良いシュートが決まれば、その分良いディフェンスができますし、逆にシュートが決まらないと相手に走られる展開になってしまう。オフェンスとディフェンスは表裏一体というか。オフェンスのリズムがつかめなかったのはディフェンスにも影響したかなと思っています」

渡邊雄太

フィンランド戦は「運動量と速さで勝負するしかありません」

前半終了時点で22点ものビハインドを背負った日本だったが、後半の出だしで6-0のランに成功するなど見せ場はあった。そして第3、第4クォーターだけを見れば32-28とドイツを上回っている。勝敗が並んだ場合、得失点差が順位に関係するため、最後まであきらめずに戦い抜いたことは収穫と言える。渡邊もその点を強調した。

「後半にまた点数が離されそうになった時、みんなが食いしばって40分間耐え切りました。勝敗が並んだ時に1点が重くなってくるんですけど、みんなが最後まであきらめずにやり切ったのは大きな収穫だと思っています」

前半に20点以上のビハインドを背負えば、集中力は低下し、試合が壊れる可能性もあったはず。ただ、日本はそこで崩れず、最後まで戦い抜くメンタルの強さを証明した。これは次のフィンランド戦に向けたポジティブな要素と言える。そして、渡邊はこのように次戦へ意気込んだ。

「高さで負けるのは仕方ないので、運動量と速さで勝負するしかありません。仮に高さでやられたとしても、すぐに切り替えてオフェンスに繋げるだけだと思います。あとは3ポイントシュートを決め切れるかどうか。今回は前半にチームに迷惑をかけてしまったんですけど、自分のリズムで打てていたと感じました。自分が決め切れるかどうかで、日本を勝たせられるか決まってくると思います」