ジョーダン・クラークソンの参戦とホームアドバンテージは千載一遇のチャンス
同じ開催国ながら、ポッド3に組み込まれた日本に比べてポッド1のフィリピンは楽なグループに入りました。しかし、あくまでも「他のグループに比べれば」楽なグループに見えるだけで、フィリピンにとっては対戦相手すべてが格上。今大会の1次リーグは大きな挑戦となります。
オリンピックでベスト8に入ったイタリアと、カール・アンソニー・タウンズが参戦するドミニカ共和国は強敵で、アンゴラは前回大会で敗れた相手。開催国と言えどもグループリーグ3連敗は十分にあり得る結果です。ただし前回大会と違うのは、ジョーダン・クラークソンの加入とホームアドバンテージ。NBAのスター選手が加わり、熱狂的なファンの後押しを受けられる今大会は千載一遇のチャンスで、フィリピンとして上位進出を狙っています。
予選では組み合わせに恵まれ、すでに開催国として出場権を得ていたこともあり多くの選手をテストしており、10試合すべてに出場したのはレバンガ北海道のドワイト・ラモスだけで、キーファーとサーディのラベナ兄弟やカイ・ソットなどBリーグで馴染みのある選手たちも6試合以下の出場と、ロスターが安定しませんでした。そんな事情でチーム戦術を練り上げる時間が足りなかったのか、個人技に頼る部分が大きく、6勝4敗と苦しみました。それでも最後はグループ3位と開催国枠がなくても出場権を手に入れる順位でフィニッシュしています。
クラークソンを筆頭にガード陣の得点能力は高く、爆発力のあるオフェンスはフィリピンの持ち味です。アップテンポなゲーム運びでハイスコアの展開に持ち込むのが勝ちパターンで、逆に守りあいのロースコアになるとインサイドの弱さが出てしまいます。世界大会となればさらにインサイドでは劣勢になるはずで、肉を切らせて骨を断つような点の取り合いを挑んでくるでしょう。
ワールドカップでの順位がアジア最上位になれば、来年のパリオリンピックの出場権を得ることができます。アジア勢はどのチームもまずはここを目指しますが、上位進出を現実的な目標に据えられるチームはなく、1次リーグさえ突破すれば出場権を得られる可能性もあるだけに、フィリピンとしては千載一遇のチャンスです。