ジョック・ランデール

「チャンスを与えられた時に結果で応えられればいい」

ジョック・ランデールはロケッツと4年3200万ドル(約43億円)の契約を結んだ。

ランデールはオーストラリア出身の27歳で、これまでオフシーズンに注目を浴びたことがなかった。NBAのドラフト指名を得られず、ヨーロッパやオーストラリアでプレーしながらチャンスを待ち、2021-22シーズンにスパーズでのNBAデビューを経て、昨シーズンはディアンドレ・エイトンに続く2番手のセンターとしてサンズでプレーした。

出場機会の限られる役割ではあったが、シーズンの大詰めになって見せ場が訪れた。ナゲッツとのカンファレンスセミファイナルで調子の上がらないエイトンに代わって『対ヨキッチ』として起用されると、運動量を生かした執拗なディフェンスでニコラ・ヨキッチを苦しめた。

サンズは2勝4敗でナゲッツに敗れたが、ランデールはこの奮闘で評価を上げた。フリーエージェントとなった彼には数多くのオファーが舞い込んだ。

「限られたチャンスで結果を残せたことで、自分のキャリアを切り開くことができた」とランデールは言う。NBAでの過去2シーズンで彼が得た収入は250万ドル(約3億4000万円)でしかない。そこから一気に大型契約を得たことになるが、1年目の740万ドル(約10億円)以外は無保証だ。

それはランデール自身が選んだもの。「チャンスを与えられた時に結果で応えられればいい。そうやって信頼を勝ち取り、契約を全うするつもりだ」と彼は言う。

「無保証だからアクセルは踏み続けなきゃいけない。でも、それは僕の性格的にも合っている」

無保証なのは2年目以降の契約だけでなく、新天地での起用法にも言える。新たにロケッツを率いるイメイ・ユドカとの会話の内容をランデールはこう明かしている。「プレータイムは自分でつかみ取るもの。それは他のどの選手も同じだとコーチから言われた。でも、ドアは開いている」

「先発として(アルペラン)シェングンはすごく良いプレーをしている。でも、彼のプレータイムは28分から29分で、僕にも20分ぐらいチャンスがあると思う。それが健全な競争だ」

やることはエイトンに続く2番手だった時と変わらない。「泥臭くプレーしてチームに足りない要素を補う。シーズン終盤になって活躍しようと思ったら、無理に何かをするんじゃなく、クリエイティブなプレーをする選手を泥臭く助けることだ。自分を犠牲にしてスター選手を助ける選手はどのチームにも必要だ。KD(ケビン・デュラント)や(デビン)ブッカーは、自分たちのために汚れ仕事をやる選手を必要としていた。僕はその役割に満足していて、むしろ好きなんだ」