星杏璃

グループリーグの±はチームトップの数字、ベンチから流れを変えるジョーカーに

アジアカップ6連覇を目指す女子日本代表は、現地時間17時に準決勝でニュージーランドと対戦する。地力で言えば日本の方が大きく上回っていると思われるが、当然のように一発勝負は何が起こるかわからない。そのため、試合の立ち上がりから攻守でエナジー全開のプレーを見せ、第1クォーターから相手の戦意を喪失させる激しいプレーに期待したいところだ。

日本はグループリーグ最終戦のオーストラリア戦を91-66と圧勝した。その試合でゲームハイの20得点を挙げたオコエ桃仁花、19得点の山本麻衣らと共に輝きを放っていたのが星杏璃だった。素早いボールプッシュに加え、持ち味である鋭いドライブで何度もゴール下に侵入し、相手ディフェンスを収縮させる攻撃の起点となった。さらに3ポイントシュートを4本中3本と高確率で沈め、13分50秒の出場で15得点3リバウンドを記録している。また、出場している時間のプラスマイナスでは、髙田真希の+31に次ぐ+28をマークと、チームに良い流れをもたらしていたことがスタッツでも実証される活躍だった。

23歳の星はこれまで世代別の代表経験もなく今回のアジアカップが初めてのFIBA公式戦となるが、それを感じさせない堂々としたプレーを披露している。オーストラリア戦に限らず、グループリーグ3試合での平均プラスマイナスではチームトップの+24を記録。またプレーの効率性を示すエフィシェンシーでもチーム3位の15.7と、シックスマンとして申し分のない働きだ。

「グループリーグ3試合が終わって自分の役割、海外の選手に対する感覚をつかめてきたなと感じています。オーストラリア戦は前の2試合(チャイニーズ・タイペイ、フィリピン戦)と違ってチームプレーがうまいことに加え、フィジカルが強いことを分かっていました。特にフィジカルで負けないことを意識していました」

このように星はグループリーグを振り返った。そして、今回が代表デビューとなるが「緊張はもちろんしていますが、自分の役割をこなすことだけを意識する。そして緊張感を楽しめているところは大きいと思います」と、強心臓ぶりを見せている。

また、特に目立っているドライブについても、もっとやれることはあると貪欲だ。「大会の前から、世界でも通用するのではないかと思っていました。まだまだ、ドライブに行けると思う場面がありますし、積極的に見せていきたいです」

星杏璃

「ただの通過点で、この後で負けたら意味がないと思っています」

2番ポジションの星が、ツーガードとして司令塔と共に攻撃の起点になることで、日本はより多彩な攻めを展開できている。特にチーム屈指の3ポイントシュート力を誇る山本麻衣と同時にプレーすることで、バックコート陣の破壊力が増している。星は山本とのコンビついてこう語る。

「一緒に出させてもらった時は麻衣さんの負担を少しでも減らせるようにと考えています。自分がボールを持った時は積極的に点を取りに行くし、ボールプッシュもします。ディフェンスでは麻衣さんだけに前からプレッシャーをかけさせるのではなく、自分も仕掛けていければと思っています」

初の国際大会と思えない頼もしいプレーを見せている星だが、日本代表だからこそ感じられるものを楽しめていることも大きい。「日の丸を背負ってのプレーは世界中の方々が見ているし、日本の皆さんもWリーグのチームに関係なく応援してくださっているのをすごく感じています。この経験をもっと自分のモノにしていきたいと感じています」

そして、6連覇に向けて頼もしいコメントを発してくれている。「(五輪最終予選への出場権獲得は)ただの通過点で、この後で負けたら意味がないと思っています。6連覇に貢献したいです」。これからの2試合、星が日本代表の新星として世界により大きなインパクトを与えることができれば、日本の6連覇達成はすぐそこだ。