『走・攻・守』のバスケットで福岡第一をウインターカップ制覇に導いた重冨周希&重冨友希

2016/12/30
Bリーグ&国内
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文=丸山素行 写真=小永吉陽子

『走・攻・守』のバスケで優勝、2人揃って大会ベスト5に

7日間に渡って開催された『JX-ENEOSウインターカップ2016』は、福岡第一(福岡県)の優勝で幕を閉じた。福岡第一にとっては11年ぶり2回目のウインターカップ制覇、そして初の『2冠』となる。

チームを優勝に導く大きな原動力になったのは、双子の兄弟である重冨友希と重冨周希だった。

大会前から注目されていた『重冨ツインズ』は、弟の周希がポイントガード、兄の友希がシューティングコーチとなっているが、その役割に差はほとんどない。どちらも同列のツーガードとして、試合の状況に応じてそれぞれがボールを運び、パスを出し、シュートを打ってはリバウンドやルーズボールに飛び込み、そしてディフェンスした。

大会を通じて福岡第一の圧倒的なトランジションバスケを演出した2人。友希が16.0得点、周希が15.4得点とチームトップの平均得点を記録し、大会ベスト5にも2人揃って選出された。

得点だけではない。ガードに「得点もゲームメークも、リバウンドもディフェンスも」とオールラウンドなプレーを求める井手口孝監督の下で成長した2人は、ディフェンスでも強靭なフィジカルや軽やかなフットワークで対戦相手を苦しめた。

決勝で対戦した東山(京都府)のエース、岡田侑大は「重富の2人だったり土居(光)君のカバーにてこずりました」とコメントしている。またダブルオーバータイムの死闘を演じた準決勝の相手、帝京長岡(新潟県)のポイントガード、祝俊成も「すごく固くて強いディフェンス、押し返してくるぐらい強かった」と語っている。

さらに目立ったのは、2人が備えるバスケットIQの高さと強いメンタルだ。決勝戦の第4クォーター終盤では、猛追を浴びる立場とは思えない落ち着きで試合をコントロール。ボールキープで時間を進め、ショットクロック残り10秒から攻撃を展開することで、追い上げる東山の勢いをうまく削いだ。

この試合運びについて、「自分たちで決めました。時間と点差を計算して自分たちでやりました」と友希は説明する。優勝が懸かった勝負どころでも、重冨ツインズは監督の指示を待つのではなく自分たちで試合の流れを読み、考えてプレーした。

準決勝でも決勝でも、「自分たちの走りが勝てると思っていた」と2人が口を揃えたように、文字通り『走・攻・守』で勝ち取ったウインターカップ優勝だった。

課題は「外のシュート」と「中でのバリエーション」

ここに至るまで最も大変だったことをキャプテンの周希に尋ねると、部員をまとめることが最も苦労したとプレー以外のことを挙げた。

「去年に比べて1年生が多く、55人の部員がいる中で、後輩たちに伝えることやチームをまとめることは自分一人ではできませんでした。アシスタントコーチやマネージャーの(山口)昌也と一緒に力を合わせてやるのが一番大変でした」

大学進学が決まり、U-19日本代表候補にも選ばれている2人に今後の課題を聞いた。これは2人に別々のタイミングで質問したのだが、似たような回答が返ってきた。

周希は言う。「外のシュートはもっと練習しないとダメです。その次はゴール下に行ってデカい選手をどうかわすか。準決勝では(ディアベイト)タヒロウにも叩かれたので、そのシュートバリエーションを増やしたいです」

友希はこう言う。「もっとアウトサイドシュートを練習して、外でも中でも満遍なくプレーできる選手になりたいです」

試合中は息の合ったプレーで抜群の連携を見せる2人だが、自分たちの関係については「仲が良いとは思わないですね」と話す。試合以外の場面では目も合わさないし、タッチもしない。部屋も別なら、学校へ行く時間もわざとずらすそうだ。

それでもインターハイとウインターカップの『2冠』を達成した。最終的に兄弟一緒に戦うことができて良かったかを周希に問うと、ややハニカミながら肯定してくれた。「言い合いになることもたくさんありました。でも、一緒にいたから衝突して言い合っても、どこが良くてどこか悪いのかを決めていったので、それが良かったと思います」

井手口監督は、まだ中学生だった2人が福岡第一を見学に来た際、背が低い2人を一緒に預かったのでは出場機会を与えられないのではないかと考え、別々の高校に行かせることを両親に薦めたそうだ。それでも2人一緒にプレーする姿を見るとすぐに印象は変わった。「1+1が3にも4にもなる。そう考えて、お預かりしますと伝えました」と井手口監督は明かす。

「バスケット以外となると、2人は全くの別人、周希君と友希君です。性格も全然違います」とは井手口監督の『ツインズ評』。だが同級生の土居光は「息の合ったプレーもありますが、プレー以外にも似たところはあります。例えば寝相が全く一緒なんです。これはもうDNAだなあ、と思いました」と笑いながら教えてくれた。

ウインターカップが終了し、友希と周希の代は高校バスケを『卒業』した。だが、福岡第一は年明けすぐに開幕するオールジャパンへの出場が決まっている。プロアマ混合のこの大会、福岡第一は大学生や実業団、プロを相手に自分たちのバスケで一泡吹かせたいと意気込む。重富ツインズのさらなる活躍、そして福岡第一の『下剋上』に期待したい。