文=鈴木健一郎 写真=小永吉陽子

去年やられた相手、ファトーとのマッチアップに勝利

『JX-ENEOSウインターカップ2016』、女子の決勝は、桜花学園(愛知県)が終盤まで続く大接戦の末に岐阜女子(岐阜県)を破った。

キャプテンの馬瓜は優勝インタビューで、「去年は私のせいで負けて、先輩たちに悔しい思いをさせたので、今年は自分が……」と言ったところで言葉を詰まらせた。桜花学園にとっては高校3冠よりも、昨年の決勝のリベンジという意味合いが強かった。

40分間フル出場でゲームハイの25得点。「自分より大きい選手を相手にどう得点するかをずっと練習してきた」と言う馬瓜は「ハイポストの相手を出してからのドライブ、ショートコーナー。先生の指示をしっかり聞いて得点できました」と、オフェンスについては納得の様子。3得点と失速した第2クォーターについても「抑えられたと言うよりも、自分が積極的に行けなかっただけ」と強気だ。

ところがディフェンスについては、マッチアップしたディヤイ・ファトーが16得点で岐阜女子に勢いを呼び込んだだけに満足にはほど遠い。「最初は守れていたけど後半に押し負けて、もったいない失点が何回もありました。OGが来てくれて守り方を教えてくれたおかげで何とか勝てたんですけど、まだ足りないです」

これは去年からの因縁。昨年の決勝、馬瓜がファトーを抑え切れなかったことが決定打となり、岐阜女子に逆転負けを喫した。「去年の反省をもっと生かさなければいけない」とは、馬瓜がこの1年を通じて言ってきた言葉だ。今日はファトーを相手に、ファウル数をきっちりコントロールしながら激しくディフェンスした。

「キャプテンとしての責任を最後まで果たしたい」

納得がいくだけの『完勝』は収められなかったかもしれないが、とにもかくにもファトーとのマッチアップにも、岐阜女子とのファイナルにも勝利した。『リベンジ』を義務付けられた1年間、馬瓜はキャプテンとしてチームを引っ張り、見事に目標を達成したのだ。

チームメートたちを盛り上げるムードメーカーでありながら、試合中は自らのプレーで仲間を引っ張っていく。その馬瓜はタフな試合を40分間戦い抜くことができた理由を井上コーチの『喝』だと言う。「前半は足が動いているので積極的に行けるんですが、後半になって疲れてきました。みんなが疲れているのに自分も、となってはダメなので、先生に喝を入れてもらいました」

その井上コーチからは何度もカミナリを落とされた。昨日に続いて今日も、及第点以上のプレーをしているにもかかわらず試合中に大きな声で叱責されている。「キャプテンを何度も解雇されそうになって、昨日も『やめちまえ』と先生に言われました」と馬瓜は笑う。「だけどこの日のために自分はやってきたし、別にキャプテンじゃなくてもいいんですけど(笑)、最後まで責任を果たしたいと思っていました。キャプテンをやっているとみんな付いて来てくれるし、盛り上げれば盛り上がってくれるし。一体感を一番感じられるポジションでした」

来年、キャプテンの座を引き継ぐことになるであろう山本麻衣は、「後半に連続得点した時の馬瓜さんはカッコ良かったです。苦しい時間帯に、あれで『行ける!』と思いました」と馬瓜を称えた。

エースとしての責任を背負い、そしてキャプテンとしてプレーで仲間を引っ張ってきた馬瓜ステファニーは、自らの任務を果たし、勝者として『高校バスケ』を卒業した。

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