江村優有

3人制バスケ『3×3』のワールドカップ、女子日本代表は若い選手たちがイキイキと躍動してグループリーグを突破し、プレーインでアメリカ代表に敗れたものの世界のベスト12となった。この大会で目覚ましいパフォーマンスを見せたのが20歳の江村優有だ。精度の高い2点シュートを射抜き、撃たせまいと相手がプレッシャーを掛ければ切れ味鋭いドライブで抜き去る。その痛快な得点能力に、ウィーンのファンが『MVPコール』をする場面もあった。センセーショナルな『世界デビュー』を果たした江村に、大会直後に話を聞いた。

「選択と判断をもっと早く、精度を上げていきたい」

──高校時代まで3×3の経験はなかったと思います。3×3を始めて「自分に合う」とすぐに思いましたか?

3×3はオリンピックで見ていて、去年のU21ネーションズリーグの日本代表に選ばれたのがきっかけで始めたんですけど、もともと小学校とか中学校の頃から父に連れられて米軍基地でのピックアップゲームをやっていて、ハーフコートでの3対3や4対4には慣れていました。それで3×3を始める時も「自分はこれまでやってきたバスケと同じだな」と、違和感なく自然な感じで始められました。

ルールは少し違うんですけど、これは小さい時から自分がやってきたバスケと同じだという感覚なので、最初から楽しかったです。ボールの違いも私は苦にならなかったですね。チームファウルを6回まで使っていいので、使う場面とか時間帯、それを10分の試合の中でどう組み立てるか考えながらプレーするのだけは、最初ちょっと難しかったかもしれません。

──3×3を経験する中で、自分のどんな部分が成長したと思いますか?

セルフクリエイトとスクリーンとインサイドで組み立てて得点を取っていくんですけど、私で言うとセルフクリエイトとスクリーンロールでツーメンゲームのハンドラーのスキルの部分ですね。3v3を始めた頃と比べればかなり上手くなったと思います。

その中で相手もアジャストしてくるので、それに対して何をするかの選択と判断はもっと早くしないといけないです。ミスマッチを攻めるのが大事なんですけど、日本だとスピードのミスマッチが一番有効なので、その状況をいかに早く作って、そこから2点シュートなのかドライブなのかの選択と判断をもっと早く、精度を上げていきたいです。

──3×3ならではの楽しさはたくさんあると思うのですが、江村選手にとって一番楽しいのは?

今回が特にそうだったんですけど、本当にバスケを楽しむところ。小さい頃からずっと「試合で勝つためにはマッチアップで上回ることが必要だ」と父から教わってきました。今回の国際大会だと、やっぱりインサイドでミスマッチを突かれてやられる部分はあります。そこをしっかり止めに行くのも大事ですけど、どうしても止めきれない部分もあって。それでも勝つにはやっぱり相手よりもスコアで上回っていく必要があります。そこで自分に得点を求められてプレーできるのは楽しいですね。

江村優有

3人制と5人制の両立「行けるところまで上がっていきたい」

──平均10.5得点は大会トップの数字です。大会前に長谷川誠コーチは「江村選手は相当やれると思っています」と話していたのですが、その言葉通りになりました。江村選手自身もこれぐらい活躍する自信はありましたか?

そうですね、やれる自信はありました。あとはさっきも言った選択と判断の部分で、アメリカ戦だとフェイスガード気味に守られたんですけど、ああいう状況で選択と判断をもっと良くしていって、得点していかなきゃいけないと思っています。狭いスペースでもシュートを決めきる力が必要だと感じました。

──観客席からは『MVPコール』が沸き上がりました。日本じゃなかなか見ない光景でした。耳には入っていましたか?

すごく聞こえてました(笑)。海外のファンの人たちがああやって私にリスペクトを示してくれたのはすごくうれしかったです。

──ああいうお客さんのリアクションがあると乗るタイプですよね?

そうなんです(笑)。

──江村選手は5人制の日本代表でも去年デビューしています。3人制と5人制の日本代表の両立についてはどう考えていますか?

私はいろんな経験ができるのがすごく楽しいと思ってやっているので、3人制も5人制も同じように行けるところまでどんどん上がっていきたいです。それにグローバルプレーヤーになることが目標なので、今回の3×3の大会でもそうなんですけど、どんなチャンスでもしっかり準備して、しっかり楽しんでプレーしていきたいと思います。

──「ライバルは前の日の自分」という言葉をよく使っていますが、今大会では自分というライバルに毎日向き合えていましたか?

そうですね。毎日チーム練習があるんですけど、それに加えて個人練習でスキルを磨いていて、日々ちょっとずつですけど成長しているのかなって思います。

──それでは最後に、応援してくれるファンの方々へのメッセージをお願いします。

いつも応援ありがとうございます。私は引き続き大好きなバスケを楽しんでいきます。その自分のプレーを見てバスケを楽しんでもらえたら私もうれしいので、これからも頑張っていきます。