再延長に得点量産、桶谷ヘッドコーチ「佳太はこのチームのエースです」
Bリーグファイナルの第1戦、琉球ゴールデンキングスは千葉ジェッツを相手にダブルオーバータイムの熱戦を96-93で制した。この試合、琉球は第1クォーターに17連続得点のビッグランを繰り出し先手を取るが、第2クォーター以降は千葉Jに追い上げられる。それでも第4クォーター終盤に再び突き放し、残り15秒で3点をリードした。しかし、ここからヴィック・ローに同点シュートを決められ、オーバータイムに持ち込まれる。
この時点で勢いは完全に千葉Jにある状況だったが、ここで琉球は持ち前の粘り強さを発揮する。そして、ダブルオーバータイムで突き放し激闘を制したが、最後にエースの本領発揮でチームを勝利に導いたのが今村佳太だった。
試合全体で言うと、今村はシュートタッチに苦しみフィールドゴール17本中4本成功の14得点5リバウンド5アシストに留まった。特にチャンピオンシップに入って絶好調だった3ポイントシュートは9本中2本成功と不発に終わっていた。しかし、ダブルオーバータイムでは積極的なアタックを繰り出し、この5分間で6得点をマークする活躍を見せた。
琉球の中で試合を通して最もパフォーマンスが安定していたのは、26得点を挙げたアレン・ダーラムだった。それでも最後に今村にボールを託したのは、「佳太はこのチームのエースです」と桶谷大ヘッドコーチが強調するように、レギュラーシーズンからずっと今村をオフェンスの軸にしてきた積み重ねがあるからだ。
そして今村も、自分がここ一番で攻撃の起点となり、チームを背負う大きな覚悟を持っている。「チームとしてプランを大事にして遂行していく中、自分は試合を通して乗り切れない時間帯が続きましたが、最後は自分にボールを集めてくれました。ヘッドコーチに限らず、選手からもボールを託されたことには責任があり、そこは覚悟を持ってプレーしています。それは去年とは違う部分です。その気持ちが最後のプレーに出たと思います」
メンタル面の逞しさに加え、プレーの幅が広がっている点でも去年との大きな違いを見せた。3ポイントシュートに固執せず、最後に強気なアタックを繰り返した理由をこう語る。「去年の僕だと、そのまま終わってしまうところはありました。レギュラーシーズンからチャンスをクリエイトする役割を任されて、その中でも状況判断を1年間しっかり磨いてきたつもりです。ああいう場面でアグレッシブにペイントアタックしていくことが相手にとってプレッシャーになるのは分かっていました」
最後に大きな仕事を果たした今村だが、試合を通してみると原修太のフィジカル色の強い鉄壁ディフェンスに苦戦していた点は否めない。試合後の会見で桶谷ヘッドコーチは「エースが最後にちゃんと仕事をする。これを佳太が乗り越えた時、日本一のプレーヤーになれると思うので乗り越えてほしいです」と語り、今村は「乗り越えてほしいと言ってもらいましたが、明日はしっかりと乗り越えて日本一になれる準備をしていきたいです」と答えるやりとりがあった。
琉球が今日の試合を制するには、今村がリーグ随一のディフェンダーとなった原の強大な壁を乗り越えられるかが大きな鍵となる。それができた時、今村は日本一のボールハンドラーとなり、琉球を日本一へと導くはずだ。
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