オフェンスリバウンド力のあるサイズをいかに抑えられるか?

この記事を開いてくれたすべての皆様、数字の沼へようこそ。自称『日本一スタッツをとる素人』である私しんたろうが、公式サイトのボックススコア(ベーシックスタッツ)から一歩踏み込んだ『アドバンスドスタッツ』を紹介、解説していきたいと思う。

ついに始まるチャンピオンシップ。これまで紹介したアドバンスドスタッツをもとに、奇しくも昨シーズンの再戦となった島根スサノオマジックvsアルバルク東京戦を分析してみよう。

今回利用するスタッツはこちら
※各スタッツの詳細・計算式は紹介記事参照
2FG%=2ポイントシュート決定率
3FG%=3ポイントシュート決定率
FT%=フリースロー決定率
eFG%=実質シュート決定率
TS%=フリースローを含むすべてのシュートの得点効率
HOMEeFG%=ホームゲームにおける実質シュート決定率 
HOME2FG%=ホームゲームにおける2ポイントシュート決定率
HOME3FG%=ホームゲームにおける3ポイントシュート決定率
AWAYeFG%=アウェイゲームにおける実質シュート決定率
AWAY2FG%=アウェイゲームにおける2ポイントシュート決定率
AWAY3FG%=アウェイゲームにおける3ポイントシュート決定率
※上記6項目はこちらを参照 2PA%=2ポイントシュートを打った割合
3PA%=3ポイントシュートを打った割合
FTD%=フリースローを得た攻撃の割合
※上記3項目はこちらを参照 FBP%=速攻による得点割合
PitP%=ペイントエリア内得点割合
SCP%=セカンドチャンス得点割合
OR%=オフェンスリバウンド獲得率 DR%=ディフェンスリバウンド獲得率
TOV%=ターンオーバーになった攻撃の割合
AST%=アシストから得点になった割合
AST/TOV=アシストとターンオーバーの比率
Possession=攻撃回数
ORtg=100回攻撃した場合平均で何点取れるのかを計測したもの
DRtg=100回攻撃された場合平均で何失点するのかを計測したもの

早速36節までのスタッツを比較してみよう。
数字が上回っているスタッツには☆を付けている。

項目 島根 東京
2FG% 53.61% 50.44%
3FG% 36.22% 32.38%
FT% 75.13% 75.47%
eFG% 53.83% 49.77%
TS% 56.48% 53.90%
HOMEeFG% 52.74% 51.47%
HOME2FG% 53.56% 52.32%
HOME3FG% 34.50% 33.48%
AWAYeFG 54.68% 48.06%
AWAY2FG% 53.55% 48.56%
AWAY3FG% 37.70% 31.66%
2ptA% 51.52% 59.28%
3ptA% 38.62% 29.35%
FTD% 9.87% 11.37%
FBP% 12.09% 9.20%
PitP% 42.49% 44.75%
SCP% 14.55% 18.36%
OR% 29.90% 36.27%
DR% 70.13% 72.32%
TOV% 14.64% 15.84%
AST% 52.70% 52.42%
AST/ TOV 2.09 2.00
POSSESSION 71.65 68.07
ORtg 115.63 113.51
DRtg 105.31 104.49

3ポイントシュートを打った割合『3ptA%』において、リーグ5指に入る3ポイントチームである島根と、2ポイントシュートを打った割合『2ptA%』においてリーグ2位のアルバルク東京。正反対の戦略を用いてここまで勝ち上がってきた両チーム。

100回攻撃した場合に平均で何点取れるのかを計測した『ORtg』では島根が115.6、東京が113.5。100回攻撃された場合に平均で何失点するのかを計測した『DRtg』においても、島根が105.3、東京が104.4と攻守ともにほぼ互角と言っていい結果に。ターンオーバーになった攻撃の割合『TOV%』も互いに低く、締まった試合展開が期待できる。

ではここから、それぞれのチームについて深掘りしていこう。島根の武器は正確なシュート決定率にあり『2FG%』が53.6%、『3FG%』が36.22%、実質シュート決定率『eFG%』換算53.8%と、高確率で決めてくるチームである。3ポイントチームであるためペイントエリアからの得点割合『PitP%』は低く、それに伴って(レイアップやゴール下を決めることが多い)速攻による得点割合『FBP』も低くなっている。『FBP%』が低いということでスローペースチームをイメージするかもしれないが、攻撃回数を表す『Possession』は71回と多く、実際にはハイペースな試合展開を得意としている。

続いてA東京。『ORtg』が113.5と高いにもかかわらず、実は『2FG%』、『3FG%』ともにリーグでも下位に沈んでいる。では東京のオフェンスを支えているものは何か。それはオフェンスリバウンドである。オフェンスリバウンド獲得率『OR%』はリーグ有数の高さであり、そこからのセカンドチャンス得点割合『SCP%』も高い。さらに『SCP%』が高いにもかかわらず『PitP%』が低いところにも注目しなければならない。これは、ゴール下で獲得したオフェンスリバウンドからフリースローを多く獲得していることを意味しており、バスケットにおいて最も得点期待値が高いフリースローから効率良く得点していることが分かる。

島根と比べると『Possession』は3.5回も少なく、スローペースなハーフコートバスケットを得意としていることが見て取れる。ただ、いかにオフェンスリバウンドが得意なA東京といえど、アウェーゲームにおける2ポイントシュート決定率『AWAY2FG%』が極端に下がっている点には注意が必要だろう。

互角な戦いが予想される島根vs東京の見どころは、
①島根の3ポイントシュートを巡る攻防
②東京のオフェンスリバウンドを巡る攻防
③ゲームのトランジション(攻撃の切り替わり)

その他、数字上苦手なAWAYゲームでも東京が良い確率で2ポイントシュートを決めることができるかも見どころになるだろう。

注目選手

セバスチャン・サイズ(A東京)
チームのオフェンスリバウンド総数に対して、23%(189本)を占め、チームのフリースロー総数の26%(297本)を放ちながら、それを76.8%の確率で沈めるサイズこそA東京のオフェンスを成立させている存在と言える。反対に島根としては、絶対に自由にさせてはならない選手の筆頭である。