勝負を分けたインサイド陣のファウルトラブル
Wリーグプレーオフ、トヨタ自動車アンテロープスとENEOSサンフラワーズのファイナル第3戦は文字通り死闘となった。
試合序盤、馬瓜ステファニーがリング近くのシュートを決め切り、スクリーンを確実にヒットさせてズレを作った川井麻衣がミドルシュートを連発するなど、アグレッシブさで上回ったトヨタ自動車がわずかに先行する。それでも、オフェンスリバウンドを取られてもイージーシュートを許さない我慢のディフェンスで耐えたENEOSは林咲希のコーナースリーで反撃し、渡嘉敷来夢がインサイドで奮闘したことで10-10で第1クォーターを終えた。
第2クォーターに入ると、再び馬瓜のアタックにより連続得点を奪われたENEOSはターンオーバーから速攻も食らい、12-19と劣勢に立たされた。しかし、インサイドへ飛び込んだ藤本愛瑚がシラ・ソハナ・ファトージャから個人3つ目のファウルを奪うバスケット・カウントを決めて悪い流れを断ち切る。さらに直後のプレーで長岡萌映子が梅沢カディシャ樹奈からオフェンスファウルを誘発し、残り6分を切った場面では渡嘉敷がポジション争いで梅沢から個人3つ目のファウルを獲得と、トヨタ自動車のインサイド陣をファウルトラブルに追いやった。こうして、インサイドでアドバンテージを得たENEOSは渡嘉敷のゴール下を強調して確実に加点。さらに星杏璃と宮崎早織の3ポイントシュートも飛び出し、31-28と逆転して前半を終えた。
後半に入ると、ともにディフェンスがオフェンスを上回る守り合いに。そして、フィニッシュがなかなか決まらない我慢の時間帯が最後まで続き、42-42と全くの互角で最終クォーターを迎えた。開始から5分間で4-4と、その後も膠着状態が終盤まで続いた。残り1分7秒、トリプルチャンスからソハナがゴール下を決めて、トヨタ自動車が3点をリードしたが、直後のポゼッションで高田静が3ポイントシュートを沈めてすぐさま同点に。そして、互いにイージーシュートを許さず、延長戦に突入した。
トヨタ自動車がソハナのミドルシュート、川井のドライブで先行したが、残り2分18秒に渡嘉敷がソハナをファウルアウトに追いやって流れを渡さない。そして、山本のドライブで再びトヨタ自動車が一歩前に出たが、残り11.7秒に宮崎にフローターを決められ、勝負はダブルオーバータイムに持ち越された。
同点で迎えた残り3分4秒、渡嘉敷がアタックから梅沢をファウルアウトに追いやったことで、流れがわずかにENEOSに。そして残り1分51秒、インサイドに注意がいった一瞬の隙を突き林が3ポイントシュートを射抜く。さらに直後のポゼッションで宮崎がボールをプッシュし、ファウルを受けながらフィニッシュを決め、ボーススローも沈めて6点をリードした。焦るトヨタ自動車は3ポイントシュートを狙うが決まらない。そして残り40秒、渡嘉敷が山本の3ポイントシュートをブロックし、速攻を決めたところで勝負アリ。ENEOSが最終スコア72-64で勝利し、4シーズンぶりの優勝を果たした。