安間志織

Wリーグは今日からプレーオフのセミファイナルとシーズンも佳境に入っている。そして、遠く離れたイタリア女子バスケットボール1部のセリエAも同じで、今週からレギュラーシーズン上位8チームによるプレーオフが始まっている。その中で、安間志織が所属するウマナ・レイアー・ヴェネツィアはレギュラーシーズンを3位で終えると、現地7日の夜に行われた第1戦を69-52で快勝している。

今シーズン、ヴェネツィアはヨーロッパの大会ではユーローリーグに次ぐレベルのユーロカップでベスト4進出を果たし、イタリア国内だけでなく国際舞台でも実績を残している。そんな強豪の中で、安間はローテーション入りを果たし主力の一員として確固たる地位を確立。一昨年はトヨタ自動車でWリーグ優勝、海外挑戦1年目の昨シーズンはドイツのブンデスリーガで優勝、そして今シーズンはセリエAでのタイトル獲得に近づいている安間に心境を聞いた。(取材はプレーオフ前に実施)

「点数を取りに行く姿勢が今の私には必要かなと思っています」

──ここまでの自身のパフォーマンスについて、どんな手応えを得ているのか。率直な気持ちを教えてください。

全然、満足はしていないです。やっぱりディフェンスは日本にいる時から常に課題となっています。また、チームオフェンスを遂行しなければと迷ってしまう、考えすぎてしまう部分があります。シュートを打てるところで打たないことが多く、もっと積極的に打っていかないといけないです。

──厳しい自己評価ですが、それでも安定したプレータイムを確保しています。イタリア屈指の強豪で、主力として試合に出られていることへのやりがいは感じますか。

今年で150周年と歴史があり、すごく能力が高い選手ばかりのチームでポイントガードをさせてもらっていてやりがいはすごくあります。ただ、もっとチームに貢献して、自分のプレーを出したいと思っています。そのためにもっとチームメートとコミュニケーションを取っていく。ポイントガードは一番しゃべらないといけないポジションですが、すぐに英語が出てこないこともあります。みんながバーってすごく言ってくる中でも「いや、私がこうっていったらこう」という強さも持たないといけません。その部分ではもっと責任を持って主張していきたいです。自分のプレーには満足してない中、こうやって試合に出してもらえることは当たり前じゃないです。この状況に甘えずに、もっとやらないといけない。最近はそれしか思っていないですね。

──「能力が高い選手ばかり」だからこそ、良い意味で自分にどんどんパスを出してと主張が強い選手も多いと思います。

そうだろうなと思っていましたが、やはり想像以上にみんな主張が強いですね。ただ、その中でもポイントガードとして空いている選手にパスを出したい、チームがどういう狙いでどういうプレーをしているのか、考えてプレーしています。そして自分で行けると思った時は絶対に行かないといけないですが、ちょっとチームメートにパスを出すことを考えすぎているなと。去年みたいに自分が点数を取りに行くっていう気持ちを持ちたいと思います。それぐらい点数を取る姿勢が今の私には必要かなと思っています。

──あらためて、パスなどここは通用すると手応えを感じているところはありますか。

対戦相手はみんな日本人に比べて手は長いですし、運動能力も高い選手ばかりですが、パスは自分の中では通用すると思います。ただ、相手が結構アンダーで守ってくるので、そこでしっかり打ち切って決め切る。それができればドライブもしやすくなるのかなと。

安間志織

「みんなの個性の強さとか、いろいろと学びながら、成長できていると思います」

──シーズンを通して一番成長した部分は、どういうところだと思いますか?

私のディフェンスは一番だとチームのみんなも言ってくれています。そこは自信を持ってチームに貢献しないといけないし、もっとできると思っています。オフェンス面では、ゴール下に侵入した際、そこで打つのか、相手のビッグマンを自分に引き付けてミスマッチを狙うのか。そこの判断は勉強しながら良くなっていると思います。

──ヨーロッパのトップレベルで活躍している選手のすごさは、外から見ているのと実際に戦ってみて違いを感じますか?

1人ひとりが目の前の相手を倒す気持ちが強いです。トラッシュトークもすごくありますし、勝つためには激しいプレーを平気でします。みんなの勝ちにこだわる姿勢は、見ているのと実際にプレーして肌で感じるのは全然違うなと思います。私も、もっと激しくプレーをする必要があると感じます。優しくプレーするのはなんか違うと思ったことがありますね。

──この環境に身を置くことで、日本にいるときと比べて感情が出るようになりましたか。

日本の中でも私は感情が出ていた方だと思いますが、こちらではみんなが私以上です。自分の感情を出して、チームを鼓舞することはすごく良いことだと思っています。日本でも、もっとこういう姿勢が増えてもいいのかなと思います。

──いろいろと困難がある中、それを乗り越えてチームを勝利に導けるというところは、今までにない充実感がありますか。

そうですね。日本だとやっぱり言葉はすごく通じやすいし、相手チームがしたいことも理解しています。それがイタリアだと相手についてはほぼゼロから、みんなに助けてもらいながら知ることになります。日本にいる時より本当にやることがいろいろ増えています。ただ、それを楽しみながら、みんなの個性の強さとかいろいろと学びながら成長できていると思います。

──欧州のトップレベルを経験することで、今の自分だったら去年のワールドカップの時より、代表でもっと良いプレーができるという自信は増していますか?

少しは増したと思います。あの場面でこういうプレーをしたらダメだという部分は、本当に気づけるようになったので、ワールドカップの時より成長できていると感じています。ただ、繰り返しますが、もっとシュートを打って確率を上げていかないといけないです。

──最後にシーズンのクライマックスに向けての意気込み等、日本のファンの皆さんにメッセージをお願いします。

時差もありますが、日本からライブで見てくれていると連絡をくれる方もいます。結果を見てくれるだけでも本当にありがたいです。私がチームにできることは全力でやりたいですし、タイトルを狙っていくので、引き続き応援していただけたらうれしいです。