オフェンスもディフェンスも噛み合った広島が京都を圧倒
4月1日、広島ドラゴンフライズvs京都ハンナリーズの第1戦が広島サンプラザホールで開催された。京都の粘りに遭いながらも要所を抑え、試合を通じてリードを広げていった広島が92-76で快勝した。
広島はカイ・ソットがゴール下に立ちはだかりペイントでのイージーシュートを許さない。カットインで裏を突くプレーから失点するも、辻直人や寺嶋良が積極的なプレーを見せ点差を広げていく。さらに随所でドウェイン・エバンスを軸にミスマッチをしっかり突くことで京都の追撃を許さず、19-13とリードして第1クォーターを終える。
広島は不用意なターンオーバーを犯すもイージーバスケットを許さず、速い展開から連続得点を挙げてリードを広げていく。9点ビハインドの京都は最初のタイムアウトを取り、積極的なペイントタッチから展開するもなかなか得点に繋がらない。その後は拮抗した状況が続き、37-27と広島が2桁をリードして前半を終えた。
後半に入っても広島はエバンスを中心とした積極的なアタックを続けて主導権を握る。ターンオーバーから久保田義章に3ポイントシュートを決められるシーンもあったが、安定したインサイドの守備に加え、ケリー・ブラックシアー・ジュニアや上澤俊喜が3ポイントシュートを沈めて突き離した。
14点リードで最終クォーターを迎えた広島はシェック・ディアロに連続得点を許し、点差を1桁にされたが、ソットがペイントを支配して追い上げを許さない。さらにブラックシアー・ジュニアの3ポイントシュートやソットのアリウープなど流れを呼び込むプレーを連発。こうして残り5分で21点差をつけた広島がすべてのクォーターを上回り快勝した。
広島のエースガードの寺嶋は試合開始直後からアグレッシブにリングにアタックするなど、11得点2リバウンド3アシスト1スティールと5試合ぶりの2桁得点を挙げる活躍を見せた。
直近の試合で得点が伸びなかったことに関して寺嶋はこう振り返る。「ソット選手の加入で相手がゾーンを引く時間帯が多くなり、自分が切り崩して起点になる意識が強くアテンプトが減っていました。今日は相手もマンツーマンの時間が長かったですし、チームとしてゾーン対策は練習してきたので、今日の2桁得点に繋がったと思います」
「残り試合を勝つことが自信に繋がりチャンピオンシップに直結する」
シーズン平均で11.0得点を挙げている寺嶋だが「自分が2桁得点できれば相手の警戒が強まるので、仲間を生かしやすくなります。このまま得点もアシストもキープしていきたいです」と言うように、自身の得点はあくまでチームプレーの一部と強調する。
また、最終クォーターにはスティールからのファストブレイクと3ポイントシュートを決めて5得点2リバウンド3アシスト1ステールと勝負どころで活躍したが、喜びよりも反省点の方が多いと寺嶋は言う。「1つ大きいターンオーバーをしてしまって、5得点した以上にそのターンオーバーが頭にあります。その後、相手もターンオーバーをしましたが、もし得点されてしまったら流れを持っていかれてしまったと思うので、得点以上にそのミスが大きかったと反省しています」
この試合を終えて広島は34勝12敗で西地区3位となり、現状はワイルドカード上位に位置している。ワイルドカードに手が届きそうなチームとは10ゲーム差開いているため、初のチャンピオンシップ進出は現実的だ。しかし、寺嶋は単に出場するのではなく地区優勝をも見据えている。「チャンピオンシップ出場よりも地区優勝を目指してやっていかなければいけないので、これから1試合1試合が大切になります。3位で行くか1位で行くかではチャンピオンシップの戦い方も変わりますので、絶対に優勝を目指してやっていきます」
だが、チャンピオンシップ進出は決して簡単な道のりではない。広島は島根スサノオマジックと4試合、名古屋ダイヤモンドドルフィンズと2試合、琉球ゴールデンキングスと2試合と、残り試合の半分以上がリーグの上位チームとの対戦となっている。寺嶋はこの残り試合について「上位チームとの対戦が多いので、チームとして得点できない時間帯が出てくると思います。その時にディフェンスで崩れてはいけないので、声を掛け合って強固なディフェンスをしていければと思います」と、今後の展望を語った。
また、これまではチャンピオンシップ争いになかなか関われなかっただけに、現在の寺嶋は充実感を持って終盤戦を戦っている。「最後まで戦えるというのはうれしいことです。これまではこの時期には出場が難しくなっていて、残りの試合をどういうモチベーションで戦っていけばいいか分からないこともありました。1試合がすごく重要なのでモチベーションも高く保てていますし、初めてのチャンピオンシップ出場が見えてきてうれしい気持ちでいっぱいです」
「全試合勝とうとチームでも話していて、熱いモチベーションを持っています。終盤でどれだけ勝てるかは自信に直結すると思っていて、連敗してしまうとチームとして自信を持てずにチャンピオンシップに挑むことになります。だから、ここで勝つことは重要です」
寺嶋がそう語るように、終盤戦で勢いをつけていければ、チャンピオンシップで一気に駆け上がることも現実的となる。チームとしても寺嶋としても初めて経験するレギュラーシーズン終盤の上位争いではあるが、寺嶋の言葉からこの後のさらなる躍進を期待せずにはいられない。
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