並里成

後悔の念「僕がコントロールをして、共通理解を持ってやれれば良かった」

チャンピオンシップ進出の可能性を残す群馬クレインサンダーズは川崎ブレイブサンダースに同一カード連敗を喫した。

初戦は20点差で大敗したが、第2戦は終盤までリードチェンジを繰り返す接戦を演じ、地力の高さを証明した。それでも、最終クォーターに5つのターンオーバーを犯したように、勝負どころのミスが響きリベンジとはならなかった。

ラスト5分間のスコアは5-14。連続ターンオーバーによってポゼッションを渡したことは得点が伸びなかった要因の一つだが、オフェンスを誰に託すかで悩んだことも敗因になった。群馬の水野宏太ヘッドコーチは言う。

「川崎さんは相手の嫌がるところをしっかり作って攻め切っていました。特に終盤の僕らはプッシュをした後、どこで攻めるべきかを明確にし切れなかったです。(トレイ)ジョーンズが4つ目のファウルをして残り5分になった時、そのままファウルアウトになるまで使い続けるのか。結果論の話にはなりますが、そこがゲームを変えたところにもなりました。試合の状況や流れもありますが、僕たちが攻めるべき場所を理解し切れなかった点が川崎さんとの違いなのかと思います」

話に挙がった残り5分の場面、水野ヘッドコーチは4ファウルになったジョーンズを下げ、チームを勢いづかせるバスケット・カウントを決めていた八村阿蓮を投入した。若手の積極的なプレーに期待したが、マット・ジャニングの経験が勝り、彼にオフェンスファウルを誘発された。もちろん、たらればではあるが、水野ヘッドコーチが言うようにファウルアウトのリスクを承知でエースのジョーンズに託していれば結果は変わっていたかもしれない。だからこそ、水野ヘッドコーチは『どこで』、『誰が』攻めるべきかの選択を敗因の一つに挙げたのだ。

この試合で3本の3ポイントシュートを含む15得点7アシストを挙げ、司令塔として申し分のない活躍を見せた並里成も終盤のゲームメークについて、自身を責めつつこのように言及した。「常にアタックは狙っていて、ディフェンスが寄ってワイドオープンになったらチームメートを信じてパスをする。攻めるところと散らすところを考えて、流れの中でしっかりバスケをしているつもりではあります。でも終盤にターンオーバーが続いたのも僕の責任で、僕がコントロールをして、何をやりたいかみんなで共通理解を持ってやれれば良かったんですけど、そこができなかったです」

結果的に終盤のオフェンスが失速を呼んだが、並里が一番問題視しているのはディフェンス面だ。「勝敗を分けるのはリバウンドとディフェンスだと思っています。決まりごとがあるんですけど、そこを徹底して遂行できるかが大事だと思っていて、やっぱり我慢できずにギャンブルしてしまったり、スイッチするかしないかなどのコミュニケーション不足もあります。40分間、集中力を切らさずに堅いディフェンスをしないといけないですし、そこを徹底しないと次に繋がりません」

あと一歩のところで勝利を逃したことで、ワイルドカード2位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズとのゲーム差は6に広がり、東地区4位の秋田ノーザンハピネッツには1ゲーム差と肉薄されている。勝ち越しているものの、大事な時期の3連敗に「正直、もがいているような感じです」と、並里は率直な思いを明かした。それでも、自分たちのスタイルを信じて遂行することがチャンピオンシップ進出への近道であることも理解している。

「これから負けられない戦いが続いていきます。1試合1試合、やるべきことをやれば自ずと結果はついてくると思うので、やり続けます」