時計を進めるアデトクンボに背後からファウルしたトレイ・ライルズに激高
バックスとキングスの一戦は、ヤニス・アデトクンボの46得点12リバウンドの活躍でバックスが133-124と勝利した。キングスは第4クォーター残り6分の時点で同点と善戦したが、ラスト6分で25失点とバックスの猛攻を止められずに競り負けた。
残り1分16秒、ワイドオープンとなったブルック・ロペスが3ポイントシュートを沈めて130-119。点差が2桁に開いたことでバックスの勝利は確実なものとなった。キングスはなおもあきらめずにハリソン・バーンズのフリースローとディアロン・フォックスの3ポイントシュートで食い下がるも、残り30秒を切ってフォックスのシュートが外れたことで万事休す。
リバウンドを拾ったアデトクンボはプレーを止め、ゆっくりとドリブルをして時計が進むのを待った。キングスの選手たちももう走っておらず、負けを受け入れたように見えた。
だが、ここでキングスのトレイ・ライルズが突如としてアデトクンボの背後から腕を伸ばし、ボールを奪おうとする。咄嗟に身体を入れてボールを守ろうとするアデトクンボを、ライルズが後ろから突き飛ばす形となった。これに激高したのが、最も近くにいたブルック・ロペスだ。「なんで押すんだ!」とライルズに詰め寄り、次の瞬間には揉み合いとなった。ライルズがアデトクンボを押した時点で他の選手もカッとなっていたのだろう、あっという間に乱闘となった。ロペスとライルズは揃って退場となっている。
「試合はもう決まって、あとは時間を潰すだけだった。あの男がヤニスに手を出したのがどういう意味なのかは今も分からない。だって、試合はもう終わっていたんだからね。僕はただ仲間を守りたかった。仲間を守ることが僕のすべてなんだ」とブルック・ロペスは言う。
ライルズは「多くの人が『安っぽい行為だ』とか『ゲームの最後になぜ』とか言うだろう。でも覚悟の上だった。あれが正しいとは言わないけどね」と話す。「僕たちは何があっても最後まで戦うチームであり、それはシーズンを通して示してきた。バックスは優勝候補だけど、僕らもよく戦ったと思う。これからもそうやって戦い続けるんだ」
問題のシーンが起きたのは残り28秒、8点差の場面。チームは戦うのを止めていたが、ライルズはそこに喝を入れようとしたのだろう。そしてロペスは自分たちのエースを守った。バックスを率いるマイク・ブーデンフォルツァーは「素晴らしいゲームの最後がああなったのは残念だ」と語り、乱闘は褒められた行為ではないことを強調したが、バックスの選手たちはロペスの行為を称えた。
ドリュー・ホリデーは「ヤニスに限らず、僕たち全員が家族なんだ。安っぽい行為はしない」と、ボビー・ポーティスは「ブルックはやるべきことをやった。僕らの誰であっても、誰かがそういうことをされれば同じことをする」と言う。
アデトクンボも「ブルックは激怒して『あんな押し方をするな!』と叫んでいた。彼は普段はそう怒らないタイプだ。それを見て僕は気付いた、彼は僕の背中を押しているんだってね。コート上に限らずコートの外でも、彼はいつだって僕の仲間なんだ。チームメートにはいつも感謝してもしきれない」と語った。
乱闘は褒められたことではないが、今回の一件はバックスのチームの絆を強めるのに一役買った。16連勝は途切れたが、その後もチームの勢いは途切れていない。バックスはプレーオフに向け、非常に良い形で歩みを進めている。