ブルース・ブラウン

西の1位はほぼ確実も、プレーオフを勝つための戦い方に不安

ナゲッツはここまで46勝22敗、2位のキングスとグリズリーズに5ゲーム差を付けて西カンファレンスの首位を快走している。残り13試合でこのリードを守ることはほぼ確実だが、プレーオフに向けて死角がないかと言えば、それはまた別の話。この5日間でブルズ、スパーズ、ネッツに敗れ、今シーズン2度目の3連敗を喫する中で、チームの課題が浮き彫りになっている。

それはセカンドユニットの弱さだ。ニコラ・ヨキッチを中心に、ジャマール・マレーとケンテイビアス・コールドウェル・ポープ、マイケル・ポーターJr.とアーロン・ゴードンのスタメン5人は個々の能力が優れるだけでなく、互いの良さを引き出す術も心得ており、NBA30チームで最もチームバスケが機能している。しかし、セカンドユニットはトレードデッドラインの改造で選手の序列が入れ替わり、混乱を呈している。

すでに1位でのプレーオフ進出が見えた今、スタメンを酷使しないようベンチメンバーのプレータイムを伸ばすようになった途端に3連敗。ネッツ戦では第4クォーターでマレーが出場せず、ポーターJr.も数秒だけのプレーと、主力に無理をさせない戦い方となったが、期待していたセカンドユニットの奮起は見られなかった。

長くてタフなポストシーズンは、スタメンの5人だけでは勝ち抜けない。選手層を分厚くし、機能する組み合わせをいくつも準備することで、プレーオフで勝ち上がるための多彩な戦い方が可能となるが、その準備は遅れていると言わざるを得ない。

特に加入から間もないレジー・ジャクソンとトーマス・ブライアントは、完成度の高いナゲッツのバスケの中で自分をどう生かすかを見いだせず、2人揃って絶不調。それだけではなく、セカンドユニットで最もプレータイムの長いブルース・ブラウンもチームを牽引できずにいる。

昨シーズンまでプレーしたネッツとの対戦で良いところを見せたかったブラウンは、30分のプレーで9得点9リバウンドを記録するも結果に繋がらず。「シーズン終盤にちょっとした逆境があっても誰も損はしない。前向きな姿勢を忘れず、良いプレーをしなきゃいけない」と語る。

イシュ・スミスは現在ローテーションから外れており、ポストシーズンに向けて自分をアピールすべき立場にあるが、ベテランらしくチームを引き上げることに専念している。「連敗を経験するのも大事だ。普通のチームはシーズン序盤にこんな感じで追い込まれる。調子の悪いチームにたたみかけるように、フィジカルに、ラフにプレーする相手に立ち向かわなきゃいけない。今はウチがリラックスできる立場で、相手は追い込まれて必死だから、余計にそうなる」とスミスは言う。

「でも、ここでそれぞれ個人的な課題を乗り越え、チームとして辛抱強く戦えるかどうかで、本当に強いかどうかが決まる。僕らは幸運にも、シーズンのこの時期まで厳しい局面に向き合わずに済んできた。それは良い戦いができていたからなんだけど、だからこそ今は歯を食いしばって懸命に戦うんだ」

マレーがプレーできれば、ポーターJr.が健康であれば優勝できる──。ヨキッチが2シーズン連続でシーズンMVPに輝く間、ナゲッツファンはそう思っていたはずだ。2人はまだ100%ではないにせよ、それに近い状態でプレーオフを迎えられそうだ。ナゲッツが良い状態にあるのは間違いない。ただ、頼れるセカンドユニットがそこに加われば、優勝の可能性はさらに上がる。