竹内譲次

文=丸山素行 写真=鈴木栄一

カザフスタン撃破に貢献もファウルアウトの汚点

バスケットボール男子日本代表は昨日、カザフスタンを86-70で下し、ワールドカップアジア予選グループFの3位に浮上した。

序盤はゾーンディフェンスを攻略され、3ポイントシュートを次々と許す苦しい展開に。41得点を挙げて勝利の立役者になったニック・ファジーカスも序盤のシュートタッチは良くなく、カザフスタンに先行を許した。そんな重苦しい空気を打開したのが竹内譲次だ。フリースローラインでパスを受けた竹内は、果敢なアタックから日本代表に初得点をもたらした。その後もインサイドで安定感のあるディフェンスを披露し、オフェンスでも積極性を見せ、リバウンド争いでファウルを誘発するなど、立ち上がりでつまずいた日本代表に戦う姿勢を示した。

第3クォーターを終えた時点で日本の4点リードと拮抗した展開が続いたが、そこから最終クォーターに突き放しての勝利。竹内は「我慢強くできたことが一番良かった」と振り返る。「強度の部分で相手を上回って、全員がディフェンスを頑張ったことによって相手に流れを渡さず、こっちの流れに持っていくことができました。自分たちがやってきたことを最後まで貫けました」

最終クォーター残り7分にはカザフスタンのヘッドコーチがテクニカルファウルをコールされた。それで得たフリースローをファジーカスがしっかりと沈めており、先にカザフスタンの集中力が切れた。

竹内が言うように、我慢が勝因だったことは間違いない。だが竹内自身にも我慢が足りなかった。最終クォーター残り5分19秒、微妙な判定ながら3ポイントシュートをチェックした際に4つ目のファウルがコールされ、それに抗議しテクニカルファウルも加わって退場となった。ケガの功名と言うべきか、結果的にその後に敷いたスモールラインナップが機能してことなきを得たが、不安に駆られたファンも多かったはずだ。

竹内譲次

拮抗した展開が続くも「自信を持ってやれている」

竹内は17分の出場で2スティールを記録するなど、ディフェンス面での貢献が目立った。だがプレータイムが伸びなかったこともあり、リバウンド数は2にとどまり、チームの総リバウンド数も33-36とカザフスタンを下回った。「前回は(渡邊)雄太が3番に入ることで全体的にサイズアップしました。今回は自分のファウルトラブルもあって、そこでリバウンドの部分で負けてしまった」と竹内は自分を責めた。

ファウルがかさみ、ベンチで過ごす時間が長くなった。そんな状況で終盤まで拮抗した展開となったが、竹内は逆転される不安を感じなかったと話す。「大丈夫って、みんな自信があるように見えました。向こうが勢いに乗っても、自分たちのバスケットを見失わないようにやっていて、途中で追い付かれても自信を持ってやれてるなって、ベンチから見て思いました」

本予選はスタートから4連敗。日本代表は崖っぷちに立たされた。その頃のチームにはどこか自信がなく、試合終盤になるとメンタル的な弱さを露呈し、接戦をことごとく落とした。ファジーカスと八村塁が加わり、オーストラリアから金星を手にしてから徐々に日本は変わっていった。渡邊雄太も参戦し、日本は怒涛の6連勝でワールドカップ出場に手が届くところまで来た。竹内が言うように、あの頃の自信なさげな日本の姿はそこにはない。

竹内譲次

「一歩ずつ、最終的な目標に近づいている」

次なる戦いは2月21日のイラン、2月24日のカタール戦だ。「アウェーなので、体調管理も重要になってくる。いろいろな部分でアジャストできれば」と竹内は、久しぶりのアウェー戦へ意気込んだ。

現在3位ではあるが、次に対戦するイランは現在2位と言わば格上であり、すぐ後ろには1勝差でフィリピンが迫っている。「本当に一歩ずつなんですけど、最終的な目標に近づいていると思います。コーチも会見で言っていましたが、先を見過ぎないで目の前の試合に集中することが大切です」と竹内は言う。

この予選10試合で日本代表は天国と地獄を味わってきた。10試合すべてに出場しているのは竹内を含め、比江島慎、篠山竜青、田中大貴の4人しかいない。良いことも悪いこともすべて経験してきた竹内は、このように締めた。

「個人もそうですし、日本のバスケットは成長できていると思います。これからもこの歩みを止めないように代表のことも頭の中に入れつつ、リーグ戦を戦って個人個人が成長できるようにしていきたい」