安藤誓哉 津山尚大

ターンオーバーからの失点が勝敗に大きく影響しているチームは

この記事を開いてくれたすべての皆様、数字の沼へようこそ。自称『日本一スタッツをとる素人』である私しんたろうが、公式サイトのボックススコア(ベーシックスタッツ)から一歩踏み込んだ、『アドバンスドスタッツ』を紹介、解説していきたいと思う。

今回は、最もわかりやすいネガティブなスタッツ「ターンオーバーパーセンテージ (TOV%)」というスタッツをご紹介。

このスタッツは、チーム全体の攻撃回数(Possessions)のうち、ターンオーバーを喫してしまった攻撃回数の割合を算出したものである。まずは、ターンオーバーについておさらいしてみよう。ターンオーバーは、ディフェンスチームにボールポゼッションが移ることを指し、以下の3パターンが存在する。
・パスミス
・ボールコントロールの失敗やファンブル
・トラベリングなどのバイオレーションまたはオフェンスファウル

意外と知られていないが、オフェンスファウルやディフェンス側のチームがボールを獲得したジャンプボールシチュエーションもターンオーバーに含まれている。これらをふまえて計算式を見ていこう。

Possessions = 0.5 × ((Tm FGA + 0.4 × Tm FTA – 1.07 × (Tm ORB / (Tm ORB + Opp DRB)) × (Tm FGA – Tm FG) + Tm TOV) + (Opp FGA + 0.4 × Opp FTA – 1.07 × (Opp ORB / (Opp ORB + Tm DRB)) × (Opp FGA – Opp FG) + Opp TOV))

FGA=フィールドゴール試投数 FTA=フリースロー試投数 ORB=オフェンスリバウンド DRB=ディフェンスリバウンド FG=フィールドゴール成功数

Tm〇〇 = チームの〇〇総数(例:Tm FGA=自チームのフィールドゴール試投数)
Opp〇〇 = 相手の〇〇総数(例:Opp FGA=相手チームのフィールドゴール試投数)

『TmPosession』や『pPosession』については、提唱したアナリストによって計算式が若干異なるが、実際の数値は計算式で大きくずれる事はない。

実際にターンオーバーは順位に関係しているのか、ターンオーバー1回あたりの平均失点ランキングも併せて見ていこう。(第22節終了時点)

順位チーム TOV%   チーム1TOVあたりの平均失点
1位 富山 21.0%   三河 1.30点
2位 新潟 20.4%   北海道 1.29点
3位 仙台 19.8%   新潟 1.27点
4位 大阪 19.5%   滋賀 1.25点
5位 滋賀 18.8%   SR渋谷 1.23点
6位 三遠 18.6%   茨城 1.23点
7位 琉球 18.6%   島根 1.21点
8位 川崎 18.5%   富山 1.18点
9位 京都 18.1%   群馬 1.16点
10位 秋田 17.9%   名古屋D 1.16点
11位 FE名古屋 17.6%   川崎 1.15点
12位 信州 17.4%   三遠 1.15点
13位 群馬 17.1%   仙台 1.14点
14位 宇都宮 16.9%   信州 1.13点
15位 名古屋D 16.5%   広島 1.12点
16位 茨城 15.9%   琉球 1.11点
17位 横浜BC 15.7%   A東京 1.10点
18位 北海道 15.7%   FE名古屋 1.09点
19位 SR渋谷 15.6%   秋田 1.09点
20位 三河 15.6%   千葉J 1.08点
21位 広島 15.6%   京都 1.04点
22位 A東京 15.5%   横浜BC 1.04点
23位 千葉J 15.0%   宇都宮 1.01点
24位 島根 14.9%   大阪 1.01点
 
平均 17.35%   平均 1.15点

気になるチームは、TOV%が7位、8位と上位に位置している西地区2位の琉球ゴールデンキングスと中地区1位の川崎ブレイブサンダースである。この2チームのターンオーバー1回あたりの平均失点を見てみると、比較的低く抑えられているため、ターンオーバーが順位を左右するほどの要因にはなっていないと考えられる。

賢明な読者の皆様はお気づきだろうが、ライブターンオーバー(時間が止まることなく相手に攻撃権が移るターンオーバー)かどうかなど、ターンオーバーの種類によって失点数や勝敗に関わる影響も変わってくると予想される。こちらも計算で求めることが可能なため、気になる方は検証してみてほしい。