写真=Getty Images

ペイサーズとの激闘を制したラプターズは準決勝でヒートと対戦。

5月1日、ホームのエアカナダ・センターで行なわれたペイサーズとの東1回戦の第7戦、ラプターズは89-84で勝利し、2001年以来初のプレーオフシリーズ突破を決めた。

ラプターズのデマー・デローザンが試合後に残した「ようやく解放された」とのコメントは、ラプターズが背負った重圧の大きさを物語っていた。

この15年間、プレーオフ1回戦という壁は予想以上に高い壁となってラプターズの前に立ちはだかった。2009年のドラフトでラプターズから指名されたデローザンは、クリス・ボッシュがヒートに移籍した2010年以降、中心選手としての責任を感じていたのだろう。そのプレッシャーから解放されたが故の前述のコメントだった。

レギュラーシーズンでは44.6%を記録したフィールドゴール成功率も、ペイサーズの堅いディフェンスに苦しめられ、今シリーズでは32.1%に落ち込んだ。それでも、デローザンはシュートを打つのを止めなかった。第7戦で放ったシュートは両チーム最多の32本、うち成功数は10本。成功率は31.25%と決して褒められない数字だが、この試合で求められるものは結果しかない。デローザンは重圧を跳ね除け、ゲームハイの30得点を挙げてチームを勝利に導いた。

ホームのラプターズが第4クォーター中盤までにリードを16点(83-67)に広げた時点で、シリーズの行方は決まった。そう思ったファンも少なくなかっただろう。しかし、負ければ終わりなのはペイサーズとて一緒。真の戦いは、ここからスタートした。

残り7分9秒からペイサーズが逆襲。ラプターズは2-15のランを決められ85-82の3点差にまで詰め寄られる。両チームとも疲労困憊の状況下、まずはカイル・ラウリーのレイアップでラプターズがリードを5点に広げるも、残り52秒でポール・ジョージの誘いに乗ってデローザンがファウル、このフリースロー2本を決められ、再び1ポゼッションゲームに。

激闘に終止符を打ったのはデローザンだった。ポール・ジョージが右ウイングからドリブルでインサイドに侵入して、イアン・マイミの頭上に浮き球のパスを送ったが、これをデローザンがスティール。そのまま落ち着いたドリブルでジョージをかわすと、パス交換を挟んでペイサーズ陣内に切り込む。ここでジョージ・ヒルからジャージーを引っ張られてファウルを獲得。このフリースローをデローザンが確実に沈め、最後の最後でペイサーズを突き放した。

敗れたペイサーズのポール・ジョージはデローザンを「誰よりも冷静沈着な選手」という言葉で称えた。

アップセットこそ果たせなかったものの、右足骨折から完全復活のシーズンを送ったジョージは、試合後にデローザンをこう称えている。「シュートに苦しんだとしても、彼は特別な選手。おそらく、僕がマッチアップした選手の中で、誰よりも冷静沈着な選手だと思う」

勝ち上がりを決めたばかりのラプターズだが、休んでいる暇はない。同じくホーネッツとの第7戦を制したヒートとの東カンファレンス準決勝は5月3日からのスタート。1回戦と同様、ホームコート・アドバンテージはラプターズにあるだけに、ホームでの第1、2戦が序盤の鍵を握ることになりそうだ。


5月1日の試合結果
ホーネッツ 73 106 ヒート
トレイルブレイザーズ 106 118 ウォリアーズ