文・写真=古後登志夫

今年で20年目、何とかここまでたどりついた感じですね

──那覇高校の監督になられた経緯を教えてください。

私は那覇高校のOBで、この学校のバスケットボール部を何とかしたいという気持ちがありました。進学校ですがOBを含めてバスケ好きな人がたくさんいて、何年かかってもいいから優勝するチームを作りたいと。今年で20年目になりますが、何とかここまでたどりついた感じですね。

2010年に沖縄で行われた美ら島総体がインターハイでの初出場です。この時はベスト16まで行きました。それを含めて6回、ウインターカップも4年連続出させてもらって6回目になります。

──チームを作る上で意識していることを教えてください。

以前は基本に忠実なバスケットをしていましたが、近年は沖縄の子の特性、個人のスキルが生かせるようなスタイルで戦えるよう努力しています。またサイズがない分、身体能力があるんじゃないかと見込んで、小さくても強い身体を作るように意識しています。

──全国で勝つために苦労する点はやはりサイズですか。

そうですね。まず長身選手と当たる経験が基本的にはないので、その空間に対する感覚ですね。沖縄には180cmの子はいないですし、175cmの子もほとんどいないので、それ以上の選手とやる想定で男子と練習したりしますが、ぶっつけ本番の大会ではやはり苦労します。一般の男子も含めて協力をお願いして練習するのですが、高さに対するインサイドの作り方はできても、そこから先のトータル的なことになると難しいですね。

──県立那覇に来て20年、継続してやれている秘訣は何ですか?

私自身が大学や強豪校でやっていた人間ではありませんが、バスケを仕事にしています。自分の夢であるバスケで、子供たちと一緒にやり続けることが好きだ、というのがまずあります。同時に良い選手、良い子供たちと巡り会えているのもすごくあります。進学校なので運動の力よりも精神的な力がある子が来てくれていて、そこを含めてトレーニングできるのは楽しいですね。

チームとしての共通理解とリーダーシップを重視

──文武両道の学校なので、バスケに集中させる環境作りが非常に大変だと思います。

バスケに使える時間が少ないのは仕方ないので、聞き取る力、見る力、考える力、表現する力を大事にしています。私は同じことを何度も言わないです。だから聞き取って、自分の中で想像力を高めてどう表現していくか。そこはプレーヤーの役目であり、チームとしてのウチの勝負どころです。上手い下手の判断はしません。チームとしての約束事を含めて何をすべきか明確にして、チームとしての共通理解とリーダーシップを重視しています。

──選手に委ねる部分が大きいと、1年生には難しかったりするのでは?

おっしゃる通り、最初は付いて来るのに必死で、2年になって少し表現が分かり始めてくる。ウチは半分以上が進学生ということもあり、早い段階から社会性のトレーニングをしています。考え方についてのミーティングやディスカッションをやって、喋りを含めた表現する練習、何を考えてどう表現するかというテーマをもって指導しています。

──ウインターカップに出場する注目選手を教えてください。

私たちのチームは進学のために3年生がこの時期に部を離れてしまうのですが、今年は2人残って、縁の下の力持ちで下級生を支えてくれてチーム作りがうまくいきました。そういう意味では3年生の山川美紅と高野真由ですね。あとは2年生の主力組、金城みゆと瀬長杏南という選手がいます。

──この4人のプレースタイルを教えてください。

金城と瀬長が得点を取りに行くプレーをどんどんやってくれます。それに対して高野と山川がリバウンドなどの献身的なプレーをしっかりやって支えてくれます。

──今回のウインターカップの目標はどこに置いていますか?

ベスト8という目標はありますが、将来のために今という時期があるので、将来に繋げられるものを学び取りたいです。おそらく3年生はすでに社会レベルの会話ができるようになっています。なので沖縄という遠い位置から全国のトップを見る勉強ですね。人から学ぶ力を含めてしっかりできたらいいなあと。

そして私たちは小さいチームです。一つのボールを人数で守る、一つのボールを人数で攻めるというのが必要となってくるので、それをどう表現するか。もう連続4回目の出場で、私も勉強させてもらったし、そういう目標を抱えて一戦ずつ戦うのは当然ですが、トーナメントで少しでも高い目標に向けてやっていきたいです。