熊本ヴォルターズ

6年8カ月ぶりに震災当時の本拠地で公式戦を開催

熊本ヴォルターズはクラブ創設10周年の節目にヴォルターズの歴史をあらためて振り返り、これまで以上に熊本と共に歩んでいくきっかけとして、1月1日、2日、7日、8日に『BLACK VOL FES』を実施した。

この4日間の『BLACK VOL FES』で、熊本城の『黒』をモチーフにしたオリジナルのブラックTシャツを来場者全員に配布。4試合で合計7,503名が来場し、1月2日は今シーズン最多の2,323名の観客が訪れ、いつもはVOLTERS REDの赤に染まる会場が、この4日間は『黒』く染まった。特に1月2日の愛媛オレンジバイキングス戦は1点差での勝利となり、会場は興奮のるつぼと化した。3勝1敗で勝ち越しイベントは大団円を迎えたが、『BLACK VOL FES』は熊本城の復興支援も目的とするなど、勝敗以上の価値があった。

熊本ヴォルターズ

2022年12月16日には、熊本地震が起こった当時に本拠地としていた益城町総合体育館で6年8カ月ぶりに公式戦を行った。震災の影響で体育館の天井は落ち、ロビーは避難所に。シーズンは途中で中止となり、選手を含むクラブ関係者は同町で、各地の競技団体などから届いた支援物資の配送や炊き出しなどの活動を行った。被災地支援に奔走した、当時を知る選手はもういない。それでも、クラブは「記憶を継承し、地域での存在意義を確認する機会にしよう」との強い思いがあり、それが『BLACK VOL FES』へと繋がった。

クラブ創設時からヴォルターズに在籍し、熊本地震も経験した執行役員の福山直樹は言う。「益城町は熊本地震前にヴォルターズの本拠地となっていた場所で、ヴォルターズの歴史が詰まった町です。クラブ創設10周年の節目、そして『BLACK VOL FES』の直前にここで試合ができたことは非常に意義深いことでした」

熊本ヴォルターズ

熊本城復旧のため、 『BLACK VOL FES』で集まった30万円を熊本市に寄附

2月5日に行われた熊本市の冠ゲームの試合前には、『BLACK VOL FES』を通して集まった『熊本城復旧・復元のための支援金』30万円を寄附した。目録を受け取った大西一史市長は「絶好調の熊本ヴォルターズから熊本城災害復旧支援金にご寄付を頂きました。有難うございました。これからもスポーツのチカラで熊本を元気にしてください。そして、昨日に続き今日も是非勝利を!レッツゴーヴォルターズ!」とのメッセージを発信している。

熊本ヴォルターズ

キャプテンの本村亮輔はこのイベントを通し、あらためて熊本への思いが強まったという。「『BLACK VOL FES』をやる意味の説明をしっかり受け、4連勝したいという思いが強まりました。多くの方が集まって下さり、試合会場を見ても圧巻で、試合をしていて楽しかったです。これからも熊本の皆さんを盛り上げていけるように頑張りたいです」

熊本ヴォルターズ

そして、谷口光貴は声援の力を実感したという。「会場が一丸となってすごい後押ししてくれました。色だけじゃない一体感を感じて、特に競っている時間はそれが力になりました。こうしたイベントをフロント、選手、ファンのみなさんで、今後も盛り上げていきたいです」

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熊本城は2016年の熊本地震により甚大な被害を受け、 2023年4月16日で地震からちょうど7年になる。 復旧は順調に進んでいると思われがちだが、実際はそうではない。熊本城総合事務所の田端文一所長は「復旧には長い時間がかかる」と言う。「当初、復旧期間は20年と計画していましたが、昨年末に35年に延びると発表したばかりです。熊本市民にとって熊本城は身近なシンボル、ヴォルターズさんのご支援はありがたかったです」

12月6日には田渡凌とベンジャミン・ローソンが熊本城に訪れ、被災と復興について見て学んだ。また、年末にはファンとともに熊本城周辺の清掃を行うなど、クラブは精力的に熊本城の復興活動を続けている。今回の『BLACK VOL FES』で初めて試合観戦をしたという田端所長は、試合の熱狂に感動するとともに、今後もヴォルターズと協力して豊かな街作りを進めたいと語った。「正直に言いますと、『BLACK VOL FES』が初めてのBリーグ観戦で、熱気に驚かされました。熊本城の寄附の広報を兼ねてスポーツイベントに出展したのはあまりないことです。バスケットボール、ヴォルターズさんは熊本のシンボルとなりうるスポーツ競技だと思っているので、今後も一緒に熊本市民を元気づけていけたらと思っています」

試合は盛り上がり、チームも勝ち越し、 初開催の『BLACK VOL FES』 は大成功を収めた 。試合を楽しんでもらうことが熊本の復興に繋がる。来年、さらにグレードアップする『BLACK VOL FES』に期待したい。