『スコアラーモード』に入った後半に17得点を固める
信州ブレイブウォリアーズはベンチ入りが8人というタフな状況の中、ディフェンスチームのプライドを見せ、後半を51-33と圧倒し敵地でサンロッカーズ渋谷を下した。
第3クォーターをわずか10失点に抑えたディフェンスの勝利であったことは間違いない。だが、大黒柱のジョシュ・ホーキンソンが29得点を挙げ、岡田侑大と前田怜緒の両ウイングがともに20得点を記録するなど、オフェンスで安定感を見せたことが91-71というハイスコアに繋がった。
岡田は前半を終えた時点で3得点に留まっていたが、4アシストを記録するなど黒子に徹した。それは自身へのマークが厳しい状況で正しい判断だったと岡田は言う。「最初はハードショウだったりスイッチで自分を狙っていましたが、こう来るのはスカウティングで分かっていました。自分がタフにドライブに行ってターンオーバーをするよりも、ジョシュに預けた方がチームとしては絶対にプラスだったと思うので、そこは本当に良い判断ができたかなと」
だが、後半に入ると「思っていたほどプレッシャーを感じなくて、自分がアタックする時間帯だと見極めました」と言うように、相手のマークに慣れた岡田は『スコアラーモード』へスイッチを切り替えた。高度なハンドリングで相手を揺さぶり、緩急自在のドライブで抜き去る。駆け引きからゴール下のイージーシュートに持ち込み、確実にファウルを誘発してフリースローに繋げるIQの高さも持ち合わせている彼は、後半だけで17得点を挙げた。指揮官の勝久マイケルも「オフェンスの天才で、なんでもできる選手」と形容するほど、攻撃面で強烈なインパクトを残した。
得点ランキングの上位を外国籍選手が占めるBリーグにおいて、平均2桁得点を挙げられる日本人選手は稀だ。現在平均14.1得点で日本人4位(リーグ45位)の岡田は自身にしか分からない得点感覚があるという。「言葉では言い表しづらいんですけど、自分のテリトリーに入ってきたというか。相手が自分の間合いに入ってきて、100%抜けると感覚で分かりました」
「信州に来てディフェンスを学べていることはバスケット人生で大きなこと」
岡田の得点力は高校、大学、Bリーグと戦う舞台が上がっても変わらず、輝きを放っている。だが、ディフェンス面に関しては突出したプレーヤーではなく、相手に狙われることも少なからずあった。それでも、信州に移籍して以降はそのディフェンス面でも改善が見られ、岡田自身もそれを実感している。
「大学から僕を知ってる人たちは僕がディフェンスをしなかったと思っている人がすごい多いと思います。でも信州に来てディフェンスを学べていることは本当に自分のバスケット人生で大きなことです。今まで考えたこともなかったカバレッジやシステムだったり、マイケルさんの下でディフェンスの徹底を学べて、良い感じに成長できているのかなと思います」
岡田はこの試合の前半に3つのファウルを犯した。これで気持ちが切れてしまっていれば、後半の活躍は生まれなかったかもしれない。勝久ヘッドコーチもメンタル面での成長を高く評価している。
「彼はピュアなスコアラー、オフェンスマシンなので、そこでフラストレーションが溜まってしまうと、ディフェンスに影響が出る時があります。でも、しっかりと集中してやるべきことをやっている時はディフェンスもできます。頭もとても良く、決めたカバレッジを間違えるのは少ないほうです。精神的な成長のプロセスを今見守っているという感じですが、成長していると思います」
オフェンスを絶賛された岡田は「マイケルさんに言われるのはうれしい」と頬を緩ませたが、「ディフェンスでは結構ダメ出しされて、いっぱい怒られています」と苦笑いを浮かべた。生粋のスコアラーである岡田が真の2ウェイプレーヤーとなれば、信州のチャンピオンシップ進出の可能性は増していく。
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